台湾北部・新竹県関西鎮にあるテーマパーク、「六福村主題遊楽園(レオフービレッジ・テーマパーク)」は開業当初、サファリパークの業態だったこともあり、今も様々な動物を飼育、展示している。特にサイは19頭が暮らしており、繁殖の成果はアジア一だという。オスのシロサイ、「錦衣衛」は25歳。たくましい体つきで体重は1,860㎏に達する。体のあちこちには他のサイと争った傷跡も見られる。飼育員によれば、「錦衣衛」はここ2年、別のオスの「阿青哥」に取って代わると交配の技巧が一気に上達、まさに「種サイ(繁殖用のオス)でボス」と言うに違わぬ生活を送っている。これは、一般の動物園では飼育されるサイの数が少なく、交配技術の練習が足らないことが繁殖を難しくしている原因の1つであることを物語っているという。
「六福村」創業者の名を冠した荘福文教基金会付属動物園と台北市立動物園(台湾北部・台北市)は7日から「サイの繁殖支援技術ワークショップ」を共同で開催。ワークショップにはドイツのライプニッツ動物園野生動物研究所(Leibniz Institute for Zoo and Wildlife-Research)から大型野生動物の人工繁殖で世界的に知られる、Dr. Thomas Hildebrandt氏とDr. Frank Goeritz氏を招いて指導を要請した他、米国のサンディエゴ動物園、タイのタイ王国動物園機構をはじめ、中国大陸、ベトナム、日本、シンガポール、香港、中華民国(台湾)など12カ国・地域の動物専門家50人あまりが一堂に会し、サイの人工繁殖関連技術について話し合った。
ワークショップではまた、サイの生殖器官のエコー検査、精液の採取などのデモンストレーションも行われた。「六福村」では今年4月23日にシロサイの赤ちゃんが1頭誕生しており、それを聞いた専門家たちはみな、自分の目でこの赤ちゃんを見たいと希望。自らサイの展示スペースを訪れ、「六福村」でサイが順調に繁殖している原因を学び、他の動物園の参考にする考えを示した。
「六福」グループの荘秀石総裁は、台湾ではシロサイの自然な繁殖が可能で、シロサイたちは開放的なスペースでストレスなく暮らし、子孫を残していると説明した。荘氏はその上で、「六福村」ではアフリカの動物たちのたくましさと野生動物の魅力を身近に感じてもらえる他、ここでの動物の保護と繁殖の成果は国際的な専門家からも評価されるものだと強調、「六福村」のサイを専門技術の向上のため、そして動物保護教育の素材として提供することで、全世界の動物保護、並びに生物の多様性確保のために前向きな影響力を発揮していけるよう希望した。