2025/04/28

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文化・社会

第3回「唐奨」の「法治賞」、法哲学者のジョセフ・ラズ氏に

2018/06/22
唐奨教育基金会(The Tang Prize Foundation)は21日、第3回「唐奨」の「法治賞」受賞者を米コロンビア大学の客員教授、法哲学者のジョセフ・ラズ(Joseph Raz)氏、79歳に授与することを明らかにした。(唐奨教育基金会公式サイトより)
台湾の実業家、潤泰グループ(Ruentex Financial Group)の尹衍樑総裁がノーベル賞を参考に創設した「唐奨(TANG PRIZE)」は2014年以降、2年ごとに「持続可能な発展」、「バイオ医薬」、「漢学」、「法治」の4部門で世界中から優れた功績を残した人物を選考して表彰している。その運営母体である唐奨教育基金会(The Tang Prize Foundation)は21日、第3回「唐奨」の「法治賞」受賞者を発表した。受賞したのは米コロンビア大学の客員教授、法哲学者のジョセフ・ラズ(Joseph Raz)氏、79歳。
 
唐奨教育基金会は、ラズ氏が法治分野におけるパイオニアとして果たしてきた役割に加え、法の本質、法の理論的推論、法と道徳、法と自由などの相互関係に対して人々が理解を深めるきっかけを作ったことを評価した。とりわけ法哲学の分析に果たした貢献は大きいとして、「法治賞」の授与を決めたと説明している。
 
ラズ氏はイギリス委任統治領パレスチナ(現在はイスラエル及びパレスチナの領土)で生まれた。専門分野は法律、道徳、政治哲学。エルサレムのヘブライ大学や英オックスフォード大学などの大学で42年近くにわたり教壇に立つ。近代法哲学者の中では抜きんでた存在であり、知識人の代表でもある。道徳哲学や政治理論の分野でも非常に重要なポジションを占めている。
 
ラズ氏は法実証主義の伝統を継承しながらも、分析法学の不足を補っている。法の規範性と法の権威性に関する理論について長年論述し、執筆に取り組み、法の自主性と法学理論の評価の本質を浮き彫りにしてきた。
 
名著『The Morality of Freedom』は、「法の権威性」の本質と範囲について完全な解釈を加えたもので、法の存在とその内容は社会的事実によって認定されるものであり、いかなる道徳的価値観による判断を仰ぐものではないと主張した。また、法の制定は、道徳的考慮を排除、あるいはそれに取って代わるためのもので、それによって社会の調和という目標を達成していると指摘している。
 
唐奨教育基金会はラズ氏について、「法哲学という大きな分野の研究において、まるで登山家のように法律、政治、道徳という3つの折り重なる山々を悠々と歩いている。そして、さまざまな思考やアプローチを厳密に整理し、人々が法律の全容をはっきりと見ることができるようにしている」と形容した上で、ラズ氏の研究は世の中の人々が法治主義の基礎などの議題についてより踏み込んだ対話や議論ができるように、また人々がより法の本質を理解できるようにしており、そこにこそラズ氏の貢献があると説明している。
 

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