2025/04/27

Taiwan Today

文化・社会

成功大学の蘇慧貞学長と台湾大学の李琳山教授がネイチャー誌の「東アジアの科学の星」に

2018/06/29
国際的な総合学術誌、「ネイチャー」の最新コラムによる「東アジアの科学の星」10人に、台湾からは国立成功大学の蘇慧貞学長(写真)ら2人が選ばれた。蘇学長は室内の空気汚染の専門家。(国立成功大学提供、中央社)
国際的な総合学術雑誌、「ネイチャー(Nature)」の最新コラムが「東アジアの科学の星(Science stars of East Asia)」10人を発表した。そのうち2人は国立成功大学(台湾南部・台南市)の蘇慧貞学長と国立台湾大学(同北部・台北市)電気工学科の李琳山教授だった。蘇慧貞学長は室内の空気汚染処理に関する専門家で、「空気の番人」と呼ばれている。また、李琳山教授は「プログラムのコーディングのパイオニア」とされる。
 
蘇慧貞学長率いるチームは10年あまりかけて、室内の空気汚染が健康にもたらす脅威を研究してきた。1999年には空気汚染防止に関する法律制定を推進、政府に研究データを提供して室内の空気に関する品質基準を定めるよう要求した。立法院(国会)は2011年に「室内の空気品質管理法」を制定、室内の空気汚染が健康に与える危害を大幅に減らすことになった。
 
蘇学長は自らの研究が政府に基準を作らせ、人々の健康を守るのに役立ったことに誇りを感じている。蘇学長は、「室内の空気汚染に関する基準を定める議論が起きた時、我々はすでに疑いようのないデータを大量に把握していた。このため公的機関が基準を設けるための法案を順調に推進することができた」と話している。
 
蘇慧貞女史は国立成功大学にとって初めての女性学長。蘇学長は米ハーバード大学の公衆衛生大学院で環境衛生科学博士を取得後、米国政府の研究計画にも参与した。台湾に戻ってからは研究チームを率いて室内における空気汚染の健康に対する危害に関するデータを収集、中華民国(台湾)が韓国に続いて、室内の空気の品質を法律で管理する世界で二番目の国となるのを後押しした。
 
一方、李琳山教授は長期にわたって音声信号のコンピューター処理を研究してきた中国語音声技術のパイオニアで、リーダーでもある。中国語は1文字で1つの音となることや4つの声調、文型といった特徴があり、同研究ではこうした特徴を考慮せねばならない。李教授は、中国語の単音全てを対象とした完全なコンピューター処理分析を最も早く行った。また、中国語の文型についての完全なコンピューター解析器も最も早く開発した。世界に先駆けて、系統立った中国語の発音規則をまとめ、音声信号の合成に用いた。また、中国語の単語音声認識技術も最も早く展示した。これらはいずれも現在の関連技術全ての基礎となっている。
 
中国語の音声技術は、現在主流となっている製品を通して世界に広がっている。Apple SiriやGoogle Now、Cortana(Microsoft)などがそうで、これら世界の華人が好んで使う製品は、現代の尖端技術の恩恵も受けているとはいえ、中国語の音声認識の中心となる構造は李教授が早くに打ち立てた基礎的な体系を基に築かれている。1990年代中期以降、さらに李教授はすでにあった基礎的な技術を核心としてインターネット環境における新たな音声処理の基礎技術体系を確立、その後段階的に、現在世界をリードする音声情報検索技術を生み出した。研究成果はすでに全ての言語に適用可能となっており、従来の「まず認識、それから検索」の観念を超越し、音声で直接検索することで検索効果を大きく向上させている。
 
 

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