2025/05/13

Taiwan Today

文化・社会

中国大陸でもファンを魅了、台湾の人形活劇「霹靂布袋戯」

2018/08/10
台湾の伝統人形劇である「布袋戯(ポテヒ)」に、現代的な音響や映像を組み合わせ、華やかな演出を行う人形活劇「霹靂布袋戯」は、中国大陸でも熱心なファンが多い。写真は人形に触れようと手を伸ばす中国大陸のファンたち。北京で開催されているアニメフェス「北京国際動漫展」での一コマ。(聯合報)
中国大陸の北京で9日から12日まで、アニメフェス「北京国際動漫展(北京国際コミック・アニメーションフェスティバル)」が開催されている。中国、米国、日本などのアニメ・コミックゲーム関連企業100社近くがブースを並べる中、ひときわ目立っているのが台湾の人形活劇「霹靂布袋戯」だ。ブースには、きらびやかな衣装を身にまとった様々な人形が並び、人々の目を引いている。また、「霹靂布袋戯」の登場人物を模したコスプレーヤーが、ブースを訪れるファンとの写真撮影に応じている。
 
「霹靂布袋戯」は、台湾の伝統人形劇である「布袋戯(ポテヒ)」に、現代的な音響や映像を組み合わせ、華やかな演出を行う人形活劇だ。「布袋戯」の劇団である「五洲園」の創始者・黄海岱氏から数えて5代目で、大霹靂上海多媒体有限公司の総経理を務める黄亮勲氏は、3年前に中国大陸で会社を設立した。現在、中国の動画サイトで「霹靂布袋戯」の番組を有料配信している。しかし、それより20年前に、代理業者が「霹靂布袋戯」の作品を中国大陸に輸入していた。それに加えて中国大陸では海賊版も大量に流通していることから、「霹靂布袋戯」はすでに一定の知名度を得ていた。中国最大のSNSであるWeibo(微博、ウェイボー)の公式アカウントは、15万人を超えるフォロワーを抱える。ファンの多くは上海、浙江省の一帯におり、次いで広州や北京などにも集中している。「霹靂布袋戯」が中国大陸の各地でイベントを行うたびに、大勢のファンたちも駆けつける。
 
今回のアニメフェスで「霹靂布袋戯」のブースでは、ファンたちが実際に人形を手に取って人形遣いの体験ができるイベントも毎日実施している。中国大陸のファンは、大部分が学生や若い社会人だ。台湾のファンと同様、中国のファンたちも互いを「道友」と呼び合い、「拱手作揖(両手を胸の前に重ね、お辞儀をすること)」で挨拶をするのが特徴だ。
 
「布袋戯」が使用する言語は、台湾で使われる閩南語(いわゆる台湾語)だ。中国大陸の人たちは、聞いても意味が分からず、字幕を見て理解するしかない。ファンたちは「布袋戯を、西洋の映画と同じように見ている」と話す。いまは中国大陸でも二か国語放送を行っているので、中国大陸のファンたちの多くが、まず普通話(いわゆる標準中国語)の吹き替え版で内容を理解してから、オリジナル音声の「閩南語」バージョンで見るのだという。一方で、「閩南語も聞きなれてくると、だいたい意味が分かってくる」と話すベテランファンもいる。
 
あるファンは「霹靂布袋戯との出会いは、まるで一目ぼれだった」と話す。登場人物はイケメンが多いし、ストーリーも感動的だ。それに布袋戯が持つ奥深い文化、それに見る人たちを圧倒する特撮技術などに、すっかりとりこになったと言う。
 
台湾の伝統人形劇である「布袋戯」が中国大陸で人気が出たのはなぜだろうか。黄亮勲氏はその理由について、「中国大陸では近年、自国の文化や古風なものを重視する風潮が流行しているのに加え、『霹靂布袋戯』は市場に出回っている日本や米国のアニメや漫画と一線を画している。中国的な服装や、中国の伝統楽器を好む人々の関心を引き、そこから『霹靂布袋戯』に魅せられる人も多いのでは」と分析している。
 

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