ドイツのダンス雑誌『Tanz』が発表した2017/2018年シーズンのベストダンサー32名に、台湾の振付師、蔡博丞(Po-Cheng Tsai)さんが選出された。ダンス評論家41名による投票で選ばれた。
消息を知った蔡博丞さんは喜びながらも、この栄誉は2015年以降の努力によるたまものだと指摘。作品『Floating Flowers』、『Niflheim』、『INNERMOST』、『INCEPTION』などを上演した際、雑誌『Tanz』の関係者はいつも会場に足を運び、そして演出を高く評価してくれたと説明した。
雑誌『Tanz』は蔡博丞さんの紹介として、蔡博丞さんがドイツのダンスカンパニー「Gauthier Dance」で演出した『Floating Flowers』のペアダンスのシーンは、コンテンポラリーダンス、モダンダンス、ストリートダンス、それに古いオリエンタル文化の要素を融合させ、非常に素晴らしいものであったと説明している。
また、スイスのルツェルン劇場(Luzerner Theater)のKathleen McNurney芸術総監が、コペンハーゲンで行われた振付けの国際大会で蔡博丞さんの才能を見出し、「Tanz Luzerner Theater Production Award」を授与するとともに、蔡博丞さんをルツェルン劇場に招き、新作『Niflheim』の製作にあたらせた。
『Niflheim』は北欧神話をもとにした作品で、顔を覆ったダンサーたちが大きく体を動かす。突然、音楽の起伏に合わせ、激しく踊りながらも、柔らかく流動性に満ちた動きを見せる。この作品の舞台言語は、台湾の作曲家である李銘杰さんの音楽と、アジアの武術、そして神秘的な神話の物語を融合させたものとなっている。
蔡博丞さんは国立台北芸術大学(台湾北部・台北市)在学中から振付けを始めた。2017年にはスイスのKonzert Theater Bernで行われた「TANZPLATTFORM BERN」で作品『INNERMOST』を上演。20世紀を代表するアイルランドの作家、ジェイムズ・ジョイス氏の混沌とした世界と、仏教の無の境地を表現した。
作品『INNERMOST』で蔡博丞さんは、厳密な構造化を追求した構成、それに大勢のダンサーが一か所に集中するようなダンスを作り上げた。精巧でありながら、ダンスの動作にこだわらない振付けの手法が特徴だ。雑誌『Tanz』は蔡博丞さんの紹介について、「私たちは知っている。これからも蔡博丞の名を見ることがあるだろう」と締めくくっている。
なお、蔡博丞さんが芸術総監を務める「丞舞製作団隊(B.DANCE)」は10月20日から21日まで、2018年「関渡芸術節(Kuandu Arts Festival)」(台湾北部・新北市)で最新作『Blah Blah Blah』を上演する。また、11月9日には衛武営国家芸術文化センター(高雄市鳳山区)の「開幕季(グランド・オープニング)」イベントの一環として作品『SPLIT』を上演することになっている。