2025/04/27

Taiwan Today

文化・社会

ジョン・M・チュウ監督の映画『Crazy Rich Asians』、ヒントは家庭から

2018/09/11
出演者全員アジア系の映画『Crazy Rich Asians(中国語は『瘋狂亜洲富豪』、邦題は『クレイジー・リッチ!』)』が全米でヒットしている。メガホンを取ったのは台湾系米国人のジョン・M・チュウ(朱浩偉)監督(右から2番目)だ。左の2人は両親。(ジョン・M・チュウ監督のインスタグラムより、中央社)
出演者全員アジア系の映画『Crazy Rich Asians(中国語は『瘋狂亜洲富豪』、邦題は『クレイジー・リッチ!』)』が全米でヒットしている。メガホンを取ったのは台湾系米国人のジョン・M・チュウ(朱浩偉)監督だ。両親ともに台湾出身だが、自身は米国で育った。9歳か10歳のときに初めて、両親に連れられて台湾を訪れた。台湾北部や南部を訪れたとき、「ああ、台湾人は自分たちと同じ顔かたちをしているんだ」と気が付いたという。
 
台湾人は客をもてなすのが好きで、店のサービスはまるで家族に対するもののように心温まるものだった。「まるで彼らは、自分を彼らの親戚の一員か、あるいは本当の子どものように扱ってくれた」という。だから、両親の故郷に帰るときは、いつも新鮮な気持ちがした。しかし、自分の居場所がそこにないことは、はっきりと分かっていた。台湾での滞在は、ほんの短いものにすぎなかった。文化的背景から来る矛盾や違いについて考え、どちらを選ぶべきか悩んだ時期もあった。しかし、後になって分かったことは、どちらか一つを選ぶ必要などないということだった。両者は共存できるものであり、彼はあえてこれを映画『Crazy Rich Asians』の主軸に据えた。
 
例えば劇中、ヒロインのレイチェル・チュウが、男性主人公の母親エレノア・ヤングと麻雀に興じるシーンがある。レイチェルは米国育ちの中華系米国人。米国の大学で教授をしている。一般的に考えれば、このような若者は自分の自由と楽しみだけを追い求めており、家庭を重視するアジア系の価値観とは相いれないことが多い。
 
しかし、レイチェルは肝心なときに上がり牌を出さず、自分と男性主人公との交際に反対しているエレノア・ヤングに勝ちを譲った。ジョン・M・チュウ監督はこうした手法を通して、アメリカ式の新しい考えを持ったアジア系米国人ですら、愛のために自分が犠牲になることを甘んじるという美徳を理解していること、つまり2つの価値観が共存することの縮図を表現したという。「このコメディは愛が持つ前向きなパワーを伝える者です。そして愛とは、現代社会において最も必要なものなのです」とジョン・M・チュウ監督は語る。
 
麻雀のシーンに、この意味深長なメッセージを込めたジョン・M・チュウ監督は、この大ヒット映画を構成する重要な要素の大部分は、ほとんど自分が生まれ育った家庭生活からヒントを得たものだと語っている。
 
劇中では、エレノア・ヤングがキッチンに立ち、料理の出来具合や火加減をチェックしているシーンが出てくる。これはまさにジョン・M・チュウ監督の子どもの頃の記憶からきているものだ。彼が小さかったころ、夕飯の支度をするのは母親と姉や妹の仕事だった。食事の支度が出来て、最後に祖母が食卓につくと、家族全員で食事を始めた。子どものころはカリフォルニア州のシリコンバレーに住んでいたものの、華人社会の伝統は彼に深い影響を与えた。
 
映画『Crazy Rich Asians』は全米で大ピット中である。出演者全員がアジア系のハリウッド映画としては、1993年制作の『The Joy Luck Club』(中国語は『喜福会』、邦題は『ジョイ・ラック・クラブ』)以来、25年ぶりの快挙である。ジョン・M・チュウ監督は、「ハリウッドの多くの映画製作会社がこの快挙に驚いているが、観客の反応を見る限り、アジア系の題材を取り上げた映画が非常に重視されていることが分かった」と語る。現在続編の制作中だ。今後も映画作りに全力を尽くしたいと意気込む。
 

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