2025/04/25

Taiwan Today

文化・社会

内政部の統計から見る台湾での名前トリビア

2018/11/09
台湾の人たちにとって人気の名前は年代によって異なる。図は1912年から2018年までの各10年間に生まれた人の名前で多かった上位3位を整理した表。使われた漢字を見ると、日本占領時代の前半、男性は「金」、後半は「雄」。その後は「志」や「冠」、「承」が増えた。女性は「英」、「玉」、「秀」から「淑」、「雅」、「怡」、「婷」、「晴」などへと変わっている。(内政部サイトより)
内政部(日本の省レベルに相当)がこのほど出版した、「全国姓名統計分析」によれば、中華民国(台湾)の国民で多い名前の上位3位は男性が「家豪」(1万4,208人)、「志明」(1万3,375人)、「俊傑」(1万2,587人)、女性は「淑芬」(3万1,923人)、「淑恵」(2万9,947人)、「美玲」(2万7,355人)だった。「家豪」は2012年から、「淑芬」は2010年からトップを守っている。ただ、地域別で見ると、宜蘭県(台湾北東部)の女性で最も多いのは「麗華」、花蓮県(同東部)と台東県(同南東部)の女性で最も多いのは「秀英」で、西部で多く見られる「淑芬」ではないなど特徴がある。
 
また、名前は世代によって流行が反映される。2001年から2011年までに生まれた人を例に取ると男性は「承恩」がトップ。「宥廷」、「品睿」、「承翰」も人気の選択肢に。女性の名前はアイドルドラマの台頭に伴い、「宜蓁」、「欣妤」、「詩涵」が主流となった。2011年には「晴」、「品」、「彤」といった漢字が歓迎されるようになり、「詠晴」がトップ、「子晴」が2番目に多かった。
 
姓(名字)と名前を合わせて最も多いのは男性が「陳冠宇」で4,017人。女性は「陳怡君」で5,925人。「単名」(1文字の名前)の人は39万4,220人で全人口の1.67%にとどまる。「単名」の上位3位は男性が「傑」(1,735人)、「杰」(1,634人)、「毅」(1,563人)、女性は「敏」(3,474人)、「梅」(3,054人)、「雪」(2,771人)だった。
 
全国の夫婦の数は535万3,385組。夫婦の姓の組み合わせで最も多いのは「陳・林」で9万1,706組。全体の1.71%を占めている。伝統的な風習では同姓結婚は認められないが、実際には17万5,933組が同姓の組み合わせ。また、今年6月30日時点の戸籍資料によれば、全国で名前は同じで姓は異なる夫婦は31組。さらに姓と名前のいずれも同じだという夫婦も3組いたという。
 
一方、2010年から2017年の間に名前を改めた人は82万634人に上った。名前を変えた人を誕生日による星座別で見た場合、最も多かったのはてんびん座の人で7万4,086人(全体の9.03%)、次いでさそり座の人の7万3,438人(同8.95%)。最も少なかったのはおうし座の人で6万3,972人(同7.80%)だった。改名する時期で最も多かったのは27歳から34歳までの間。中でも29歳が最多だった。また、男性で改名の対象となる名前で多いのは上から「承恩」、「宇翔」、「承翰」。一方、改名後の名前で最も多いのも、「承恩」、「承翰」、そして「品睿」となっている。
 
6月30日の時点における戸籍登記資料によれば、中華民国(台湾)の総人口数は2,357万4,274人で、姓の数は1,832だった。「単姓」(1文字の姓)は1,722、複姓(2文字の姓)は110で、全体では2016年より329増えた。「罕見姓氏」(きわめて珍しい姓)以外で増えた「単姓」は4つ(佑、津、跋、廬)で減った「単姓」は3つ(専、喏、繨)、減った「複姓」は4つ(班澤、張朱、劉郭、鍾巴)だった。「特殊関連姓氏」(特殊な関連性を持った姓)には、「東」、「西」、「南」、「北」、「春」、「夏」、「秋」、「冬」、「甲」、「乙」、「丙」、「丁」、「大」、「中」、「小」、「多」、「少」、「是」、「非」、「真」、「假」(「真」の反義語)、「公」(オス)、「母」(メス)、「花」、「草」、「樹」、「木」などがある。また、数字では、「一」、「三」、「五」、「七」、「八」、画数の多い書き方による「壹」(一)、「玖」(九)、さらには2つの漢字で「第五」という姓の人もいるということ。
 
人数の多い姓上位十位の人は合計1,244万2,876人で、総人口の52.78%を占めた。また、上位100位までの姓の人は2,276万4,536人で総人口の96.57%に達した。上位十位は上から「陳」、「林」、「黄」、「張」、「李」、「王」、「呉」、「劉」、「蔡」、「楊」で、2016年より3万6,433人増えた。そのうち最も増えたのは「陳」で、8,435人増となった。上位十位のうち増加幅が最も小さかったのは「劉」で、1,408人増にとどまった。
 
6月30日時点での全国老年化指数は108.78。老年化指数は(65歳以上の人口÷14歳以下の人口)×100で割り出す。人数の多い姓上位20位で見た場合、姓が「劉」の人の老化指数が最も高く、113.40だった。2位は「郭」で112.54。また、90歳以上の人の割合が最も多い姓は「徐」で、「徐」を姓とする人の0.63%が90歳以上。100歳以上の人が最も多かったのは「王」で、0.02%だった。人数の多い姓上位20位のうち幼年人口(14歳以下の人口)の割合が最も高かったのは「洪」で、13.50%だった。
 
台湾では2007年5月23日に民法が改正され、子女の姓は父母が書面で合意することで、父方と母方のどちらかを自由に選べるようになった。2012年から2017年までに出生届が出された子女で母方の姓を名乗るケースは年々ゆっくり増える傾向にある。また、先住民族の子どもで民族伝統の姓を届け出るケースは2011年の29人から2017年の99人へと年々増えている。
 
全国に7,761ある村・里のうち、特定の姓が人口の過半数だというところは149。雲林県(台湾中部)の48村・里が最も多く、次いで彰化県(同中部)の34村・里だった。村・里は中華民国の第4級行政区画。村・里の名称に姓が含まれ、その姓が人口の過半数だというところは6つで、高雄市(同南部)湖内区の劉家里(姓は「劉」)、雲林県四湖郷の林厝村(「林」)、高雄市林園区の林家里(「林」)、彰化県福興郷の頂粘村(「粘」)、雲林県四湖郷の林東村(「林」)、屏東県(同南部)佳冬郷の頼家村(「頼」)。
 
「全国姓名統計分析」は2年ごとにまとめている。出版物とするのは今年で7回目。書籍ネット通販の国家網路書店(http://www.govbooks.com.tw)五南文化広場(https://www.wunanbooks.com.tw)で購入できる。また、内政部戸政司の公式サイトから全文PDFをダウンロードすることも可能。スマートフォンなどモバイルデバイスでいつでも見ることが出来る。
 
 

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