2025/06/18

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鴻海グループのテリー・ゴウ氏が寄付、国立台湾大学がんセンターが落成

2018/12/21
国立台湾大学医学部附属がんセンター(写真)はホンハイグループのテリー・ゴウ董事長が寄付したもの。契約から10年後の19日に落成し、来年7月には正式な運営が始まることに。(中央社)
「国立台湾大学医学院附属癌医中心医院(NTU Cancer Center、国立台湾大学医学部附属がんセンター=以下、がんセンター)」は財団法人永齢健康基金会の創設者であるテリー・ゴウ(郭台銘)氏が寄付したもの。契約を交わしてから10年が経った19日に落成し、国立台湾大学医学部附属病院のがん治療グループによる試験運営の段階に入った。正式な開業は来年の7月4日の予定。
 
世界最大の電子機器受託生産会社、鴻海(ホンハイ)精密工業株式会社の董事長(会長)であるテリー・ゴウ氏ががん治療などに寄付を行うようになったきっかけは家族を失った悲しみ。テリー・ゴウ氏は最初の妻と弟をそれぞれ乳がんと白血病で亡くしている。テリー・ゴウ氏は落成したがんセンターを参観し、同センターが患者を中心とした、医療4.0の「スマート病院」となるよう期待すると共に、「予防医学の角度」から基礎を固め、「上医医未病」(最高の医師は病気を予防し、人を病気にさせない医師である)の境地を目指してほしいと願った。
 
ホンハイグループはクラウドコンピューティング、移動通信、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、さらにはシャープの8K映像技術などのテクノロジーを有しており、がんセンターをプラットフォームとしてこれら技術の応用を進める。さらに付近に建設中の「輻射科学及質子治療中心(放射線技術及び陽子線治療センター)」と合わせ、国立台湾大学の南東キャンパスにおけるバイオ医療技術の研究を中心に据えて世界レベルのがん治療施設を築く。
 
さらには「台成幹細胞治療中心(センター)」と「永齢生医工程館(永齢バイオメディカルエンジニアリング館)」をがんセンターに統合することで、国立台湾大学永齢健康研究院を華人によるバイオ医療発展の中心へと成長させていくという。
 
テリー・ゴウ氏はあいさつの中で、がんセンターは患者と家族の希望になると改めて期待した。同氏は、家族を亡くした悲しみは忘れることが出来ないとしながらも、協力して設立した「台成幹細胞治療センター」が白血病治療で大きな成果を上げ、500人を超える白血病患者を救うことが出来たと喜んだ。来年には同センターもがんセンターに組み込まれる。

がんセンターはテリー・ゴウ氏の国立台湾大学に対する施設寄贈の一部。現在、国立台湾大学医学部附属病院のがん専門ベッド数は138に過ぎない。がんセンターの正式な運営が始まれば550床が提供出来、ベッド数は5倍近くとなる他、その他のスマート医療や放射線・陽子線治療を組み合わせることも可能になる。
 
テリー・ゴウ氏はまた、「新百年医療工程」の理想を掲げている。同氏は、かつて台湾プラスチックグループを率い、「台湾の松下幸之助」と呼ばれた故王永慶氏が企業経営者として医療の世界に貢献し、その後ろ盾になろうとした精神を受け継ぎ、華人によるがんへの対抗と治療をテクノロジーや文明と結び付け、華人の医療をさらに発展させていきたいと強調した。
 
国立台湾大学医学部附属がんセンターは地下4階地上15階建てで、入院病棟と細胞治療センター、患者センター、予防医学センターが設けられる他、外来診療、実験と研究なども行われる。対外的な運営は来年7月に正式にスタートする予定。
 
 

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