交通部(日本の国土交通省に類似)公路総局が推進する蘇花公路(台湾東部・宜蘭県と花蓮県の間を南北に走る省道、台9線の一部)改善計画の一区画、東澳段(宜蘭県・蘇澳~東澳区間)は、5年余りをかけた改善工事を経て、2018年2月に開通した。東澳段の改善工事期間中には、国内外で重視されつつある省エネルギー・CO2削減の取り組みに呼応するため、関連の工事はすべて環境負荷軽減を目標とすると同時に率先してカーボン・マネジメント体制を構築した。これらの努力が認められ、2018年8月には英国規格協会(BSI)から国際標準規格、ISO14067カーボンフットプリント(炭素排出量)認証を取得した。
BSIは8日、蘇花公路改善計画工程処において、交通部公路総局の許鉦漳副局長立ち合いのもと、工程処に対し認証登録証書を授与、邵厚潔工程処長が代表で受領した。
邵厚潔処長は取材に対し、「工事プロセス中における設備、運搬、資材の使用などすべてにおいて、CO2が排出される。改善工事の初期段階ではまだ省エネ、CO2 排出削減という概念はなかったが、近年大きく問題視されている異常気象、温室効果ガス排出、地球温暖化の世界的なトレンドから、工事においても省エネやCO2排出の削減を実施してきた」と説明した。
邵厚潔処長によると、工事では通常のセメントの代わりに高炉スラグの微粉末やフライアッシュを混ぜた混合セメントを使用し、土石の運搬はトラックではなく鉄道で行い、蘇花公路に砂利トラックが走らないようにした。そのほか、工事中の電気の使用は一時的に使用する発電設備ではなく、工事地区に配電される電力でほぼまかなった結果、7万3,000トンのCO2排出量を削減した。このCO2固定量は、大安森林公園(台湾北部・台北市)188個分の広さにも及ぶ。
台湾で道路の公共工事が国際的なフットプリント認証を取得したのは初めて。改善工事中の蘇花公路改善計画和中清水段(花蓮県・和中~大清水区間)の工事においても、引き続きカーボン・マネジメントを実施し、CO2排出量をコントロールするよう努めている。