英国で最初の台湾領事を務めたロバート・スウィンホー(Robert Swinhoe、1836年~1877年)氏の5代目の子孫にあたるクリストファー・スウィンホー・スタンデン(Christopher Swinhoe-Standen)氏が17日に台湾を訪問した。今回の訪問は、クリストファー・スウィンホー・スタンデン氏が自分のルーツを探るため中華民国外交部(外務省に相当)に対して台湾訪問を希望したという。
クリストファー・スウィンホー・スタンデン氏は17日午前、英国人女性の友人と国立台湾博物館(台湾北部・台北市)でスウィンホー元領事に関する特別展を鑑賞した。その後、旧英国領事館および領事官邸跡の打狗英国領事館(台湾南部・高雄市)を訪問するため、関係者および高雄市文化局のサポートのもと、高雄市を訪れ打狗英国領事館参観が実現した。
打狗英国領事館参観では、高雄市文化局の局員が全行程に付き添い、スウィンホー元領事の台湾領事としての台湾への貢献に謝意を表し、クリストファー・スウィンホー・スタンデン氏に英国領事館に関する研究書を贈呈した。
クリストファー・スウィンホー・スタンデン氏は文化局局員とともに打狗英国領事館文化園区の登山古道を登り、「生態調査をする英国領事スウィンホー」蝋人形も鑑賞した。鳥類や哺乳動物の研究者としても知られるスウィンホー元領事が当時、猿や赤ガエルの生態調査をしている姿が再現されている。
クリストファー・スウィンホー・スタンデン氏は、「英国に帰国したら、台湾訪問で撮影した写真を91歳になる母と一緒に見るつもり。これがスウィンホー一家に喜びをもたらすと信じている」とし、「高雄港は気持ちの良い風がふき、光が差し込めている場所。旧英国領事館を参観した後は遊覧船に乗って海の風に当たりながら、祖先の面白いエピソードを振り返った。今回の高雄訪問での最高の楽しみだ」との喜びを示した。さらに今回は祖先のたどった道を訪問したが、次回は家族や友人皆を連れて高雄でのルーツを探りに来たいとの期待も語った。
文化局によると、ロバート・スウィンホー氏は、1861年7月に初めての英国の台湾副領事として赴任し、台湾府(台湾南部・台南市)の管轄下に台湾初の英国在台事務所を設立した。1864年に打狗(高雄)港開港に伴い同年11月、英国は在台副領事館を南部の高雄に移転、1865年2月に領事館に昇格させた。ロバート・スウィンホー氏も領事に昇格した。打狗英国領事館は、台湾において初めての英国領事館となった。
スウィンホー元領事は、初の台湾領事を務めただけでなく、生物学者としても知られる。高雄市柴山の台湾猿が台湾固有種だということを世界的に認められるよう働きかけた。また、鳥類の発見にも努め、世界で最も早く台湾及び中国大陸の鳥類図鑑を発行した。現在、台湾に記録されている鳥類のうち、3分の1以上は、スウィンホー元領事が登録したものだという。