国家図書館が先ごろ、昨年の台湾における図書出版トレンドに関するレポートを発表した。国家図書館は毎年、受理したISBNコード(国際標準図書番号)申請及びCIP(Cataloging in Publication)目録を根拠に統計報告をまとめて各界に向けて発表している。国家図書館国際標準図書番号センターがISBNコードの各項目の統計から分析した結果、「紙の本」(実体のある図書)は2017年の成長トレンドを維持できなかった。昨年の台湾における新刊発行点数は4万点以下へと逆戻り。昨年1月から12月までに新たに設立された出版社は1,346社。全体で4,940社の出版社が3万9,114点の新刊書を発行した。新刊発行点数とISBNコードの申請を行った出版社の数は2017年には増加し、安定を取り戻したかに見えたが、2018年には再び減少傾向に転じた。
2018年に電子書籍のISBNコード申請がなされた新刊書は4,340点で新刊発行点数全体の11.10%に。この統計によれば、2017年に大きく成長した電子書籍の出版は昨年横ばいだったものの、昨年の台湾における公共図書館での貸出統計からは電子書籍の利用者が引き続き増加していることが分かる。昨年電子書籍を借りた人は延べ175万人で、2017年より延べ40万人増加した。また、電子書籍で使用するファイル形式は近年多様化している。主にはPDFとEPUBだが、業者が長年普及に努めたことで、EPUBは昨年PDFを追い抜いて市場の主流となった。
2018年の新刊書のうち24.35%(9,524点)は翻訳図書で、前年比0.30%増加。主には日本の書籍(5,280点、55.44%)と米国の書籍(2,102点、22.07%)の翻訳本。翻訳図書を種類で見た場合、最も多いのは漫画(2,259点、23.72%)。以下は児童書(1,430点、15.01%)、小説(1,180点、12.39%)と続く。
一般図書館常用分類統計に基づけば、昨年出版された新刊書では「言語/文学」類が最多(8,790点、全体の22.47%)。以下「応用科学」類(6,245点、15.97%)、「社会科学」類(6,213点、15.88%)、「芸術」類(各種芸術とレジャー・旅行含む。5,673点、14.50%)、「歴史と地理/伝記」(3,138点、8.02%)の順。
出版業界の常用分類で見た場合、昨年は「人文・歴史と地理」類の新刊書が4,936点で全体の12.62%を占めて最も多かった。「人文・歴史と地理」類の図書は3年連続で増えている。次いで「社会科学」類(4,327点)だった。従来トップを独占してきた「小説」類は昨年、4,191点で3位に後退。新刊書全体に占める割合も年々縮小している。
一般の出版社が発行する新刊書のテーマは「人文・歴史と地理」が12.62%で最大。次いで「小説」(11.89%)、「児童書」(9.98%)。政府機関の出版物では「社会科学」(28.75%)、「芸術」(18.20%)、「科学と技術」(15.41%)、「人文・歴史と地理」(11.80%)、「児童書」(8.22%)が五大テーマとなっている。自費出版では「芸術」類が26.56%で最大。以下「人文・歴史と地理」類(11.80%)、「社会科学」(13.38%)、「文学」類(10.31%)と続く。
出版社では小規模な出版社が依然として最も重要な力を発揮しており、昨年ISBNコードを申請した出版社のうち半数以上が1点のみの出版(57.91%)。新刊書の出版点数10点以下の出版社が9割近く(88.14%)を占めた。