2025/05/04

Taiwan Today

文化・社会

臓器提供と移植がテーマ、公共テレビの新ドラマが高視聴率

2019/05/10
台湾の公共放送である公共テレビが制作し、台湾で初めて臓器提供と移植のコーディネーターを取り扱ったドラマ、『生死接線員(The Coordinators)』が話題を呼んでいる。(公共テレビ提供、中央社)
台湾の公共放送である公共テレビ(公視、PTS)が制作し、台湾で初めて臓器提供と移植のコーディネーターを取り扱ったドラマ、『生死接線員(The Coordinators)』が話題を呼んでいる。放送開始の4日には第1話と第2話を続けて放送、視聴率は第1話が平均1.40、第2話が同1.53と好調だった。視聴した人は2話合わせて128万2,000人に達した。
 
公共テレビによると、『生死接線員』は臓器提供と移植の最前線にいる人たちを通して命の終結と継続を照らし出す物語であり、視聴者の共感を呼んでいる。財団法人器官捐贈移植登録中心(TORSC、臓器提供移植登録センター)の執行長で医師の江仰仁さんによれば、生と死の矛盾という地味なテーマが重視されるよう公共テレビのスタッフたちが夜を徹して制作に取り組んでいるほか、臓器移植に携わろうとする医療人員たちもみなこのドラマが人々に受け入れられるかどうかを緊張して見守っている。江仰仁さんは、「ドラマを通じて我々自身が、自分たちの仕事がいかに神聖なものであるかを理解できる。また、台湾の人たちが我々の仕事を認めてくれていることもはっきりした。ありがたい」と話した。
 
『生死接線員』における病院の場面は全て彰化基督教(キリスト教)医療財団法人の病院で撮影。同法人傘下でいずれも台湾中部・彰化県にある彰化基督教医院(=病院)、員林基督教医院、二林基督教医院が全力でサポートした。ドラマの舞台である「利恒医院」の名称は、キリスト誕生の地・ベツレヘムの中国語である「伯利恒」の後ろの二文字を取ったもの。
 
彰化基督教医療財団法人の広報部門責任者、閻廣聖さんは最初に撮影スタッフの電話を初めて受けた時のことを思い出す。電話の声がなぜか非常に小さく、控え目だったため、大きな声で話してくれるよう求めた。そして相手は病院での撮影許可を求めており、ストーリーが臓器移植に関わるものだと知ってただちに陳穆寛院長に報告すると陳院長は二つ返事で承諾。その間10分もかからず、撮影スタッフはしばらく信じられなかった。それまで多くの病院に断られており、ようやく希望の光が見えたからである。
 
病院での場面は多く、ロケハンを経て員林基督教医院をメインのロケ地と決めた。このためヘリポートから救命救急室まで8割方、員林基督教医院で撮影されている。また、集中治療室での場面は大きな問題だった。患者を追い出して撮影するわけにはいかないからである。しかし、幸いなことに二林基督教医院にちょうど出来たばかりの集中治療室があったため撮影が可能で、撮影チームにとって切迫した問題は解決された。
 
また、彰化基督教医院の手術室でのロケも問題だった。毎日手術室のスケジュールは埋まっている。最終的には土曜日正午から夜にかけて、そして翌日の日曜日を利用して撮影することになった。病院側も協力し、2回の週末を使って手術室でのシーンを撮り終えることが出来た。撮影に参加する俳優、スタッフ、撮影機材の全てが手術室における最高の規定に従って、出入りの際には徹底的な消毒が施されたという。
 
ドラマには救急車が事故を起こす場面もあった。撮影チームは中古の救急車を希望したが、病院側には新車しか無かった。結局新車を使って撮影、ストーリー上の事故場面はコンピューターによるポストプロダクション(撮影後の加工)で処理した。彰化基督教医院ではまた、多くの医療スタッフをエキストラとして動員。協力を惜しまなかったことについて病院側では、こうしたドラマを通じてより多くの人たちに臓器提供と移植の重要性を知ってもらいたいからだと話している。
 
『生死接線員』は毎週土曜日夜9時(台湾時間)から2話ずつ放送。米国の映像ストリーミング配信事業会社のNetflixも公共テレビの放送に合わせて配信する(台湾限定)。また、公共テレビによる動画配信サービス・公共テレビプラス、映画配給及びオンライン映画・ドラマ配信サービスのCATCHPLAYによるオンライン動画配信(台湾限定)、LINE TV、遠伝FriDay動画配信では毎週土曜日夜10時から視聴が可能になる。
 
 

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