2025/05/29

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文化・社会

台湾初、中興大学に野良犬・野良猫専用の動物病院

2019/05/24
野良犬や野良猫だけを対象とした動物病院「浪浪楽活医療室」が23日、国立中興大学(台湾中部・台中市)にオープンした。公立の動物保護施設や、中興大学と協力関係にある民間の動物愛護団体からの依頼のみを対象とし、個人のペットは受け付けない。「殺処分ゼロ」により増大する動物保護施設の医療経費負担を軽減するのが狙い。(中央社)
台湾初となる野良犬や野良猫だけを対象とした動物病院が23日、国立中興大学(台湾中部・台中市)にオープンした。名前は「浪浪楽活医療室」で、場所は中興大学獣医教学医院の裏手にある検疫舎内。中興大学獣医学系(=学科)の林荀龍副教授のほか、獣医師8名が在籍する。公立の動物保護施設や、中興大学と協力関係にある民間の動物愛護団体からの依頼を対象とし、個人からの依頼は受け付けない。経費不足で野良犬や野良猫の治療ができないという公立動物保護施設の問題を解決したい考え。
 
中興大学の「浪浪楽活医療室」は、教育部の「高等教育深耕計画」の一つである「大学社会責任実践計画(University Social Responsibility)」の経費助成を受けている。設立準備に半年をかけた。敷地面積42坪に入院病棟、検査処置エリア、それに手術室を持ち合わせる。現在、台中市動物防疫処、台湾動物保護協進会、台中市世界聯合保護動物協会、台湾同伴動物扶助協会、台湾之心愛護動物協会が中興大学の協力機関となっている。
 
林荀龍副教授が率いるチームは、台湾で唯一、野良犬や野良犬の避妊手術を行う大学系の獣医学チーム。林荀龍副教授らは11年前から、へき地でのボランティア診療や野良猫や野良犬の避妊手術に取り組んできた。チームを構成するのは同大学内の獣医師や大学院生、大学5年生の在校生や卒業生などだ。これまでに避妊手術を行った野良犬や野良猫は1万匹近くに上る。「浪浪楽活医療室」を立ち上げることで、動物保護施設の医療の質を高め、医療経費の節約につなげるほか、応急措置が必要な野良犬や野良猫の治療に協力し、動物保護に携わる獣医を育成したい考え。また、長期的な目標としては台湾全土の公立動物保護施設からの転院を受け入れる医療機関となることを目指す。
 
台湾では2017年2月より、動物保護施設での「殺処分ゼロ」が始まった。これにより動物保護施設での安楽死が禁止されたが、保護される動物が増え、動物たちの老化や病気が問題となっている。これらは、より多くの医療資源を投入して解決しなければならない問題だが、現在のところ公立・私立に限らず、動物保護施設ではいずれも医療技術や経費不足の問題を抱えており、病気や怪我を負った動物たちがしかるべきケアを受けられずにいる。
 
中興大学の「浪浪楽活医療室」では動物保護施設や愛護団体などから送られてくる犬や猫を治療し、治療が終わるか、あるいは一段落したら、もとの保護施設や団体に送り返すことになる。当面は台中エリアの公立動物保護施設から応急措置の依頼があった犬や猫を受け入れるが、将来的には台湾の野良犬や野良猫のためにより質の高い医療ケアを提供し、治療費を下げると共に、この医療サービスを台湾全土に展開していきたいと考えている。
 

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