2025/05/29

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「夏至」にはパイナップルやスイカで食欲増進、暑気あたりは「刮痧」で解消

2019/06/21
6月21日は「夏至」。中国医学によれば、「夏至」は暑気が人に迫る時で老若男女を問わず食欲を減退させる。パイナップルやスイカで食欲増進を図ろう。(聯合報より)
6月21日は二十四節気の「夏至」であり、暑い夏がまさに到来したことを表す。また、北半球では昼間が最も長く、夜間が最も短い1日でもある。これから「冬至」まで昼間は徐々に短く、夜は長くなっていく。
 
中国医学の医師(漢方医)によれば、「夏至」は暑気が人に迫る時であり、老若男女を問わず食欲を減退させるが、胃腸を調整してその機能を回復させれば食欲は自然に好転するという。また、頭痛や緊張型頭痛、高温による体調不良を起こしたならば、人差し指と親指の間のツボ、「合谷穴」を押すことで症状を緩和できる。1度に20回、約3分から5分間、左右の手を入れ替えて押し続ける。押す力はしびれをやや感じるぐらいで、これには気持ちを落ち着かせ、痛みを和らげ、経絡の流れを良くする作用がある。
 
また、夏に「賢く食べる」には、タロイモやトウモロコシ、アスパラガスなど節気に対応する食材のほか、果物ならばパイナップルが良い。台北市中医師公会(漢方医同業協同組合)の陳潮宗理事長によれば、夏はパイナップルの最盛期で「性味」(漢方薬の分類方法)は「甘温」。暑気あたりを和らげ、のどの渇きを抑えてくれるほか、下痢止め、食欲増進の効果があるという。
 
「夏至」からは「陽極陰生」(陽が極まることで陰に転化する)となり、「陰気」が体内にたまっていく。このため「夏至」以降の飲食は暑さを逃がし、食欲を増進することを目的に苦い食べ物を多く摂ると良い。「夏至」の食材では、緑葉野菜と水分の多いウリ科の野菜が良く、白菜、ニガウリ、ヘチマ、キュウリなどが胃を健やかにする食物だという。
 
また、暑気払いとしてかき氷やアイスクリームを食べる場合、漢方医は注意すべき点を3つ挙げている。それは「体質を知ること、食べる時間を選ぶこと、ゆっくり食べること」。「熱性体質」とされる人は通常汗かきで、口が渇きやすい。また、便秘などの症状も出る。「寒性体質」の人に多いのは冷え性、食欲不振、夜の頻尿など。「寒性体質」の人がかき氷や冷たい和え物など、中国医学で「寒涼」と分類される食べ物を食べるなら「陽気」が旺盛な昼間に食べるべき。特にかき氷を食べるのは正午から午後3時までの間で、食後1時間してから食べるのが良い。温かい食べ物と冷たい食べ物が混ざって胃を刺激するのを避けるためである。また、空腹時にかき氷を食べることは消化に影響するため薦められない。
 
さらに「寒性体質」の人には溶けるのにやや時間がかかるもの、すなわちアイスクリームやサンデーがお薦め。加えてゆっくり食べることで体内の温度のバランスを取り、体が適応できるようにする。「熱性体質」の人はかき氷に加える練乳やフルーツのシロップなど甘い味の食べ物はなるべく控えた方が良い。「熱性体質」の人は体に無駄な水分が貯まりやすく、甘い練乳やシロップを食べるとそうした水分が粘つくようになり、便や汗もベタついたものになるからである。
 
本格的な夏に入り、暑気あたりが心配される。中国医学では暑気あたりを「陰暑」と「陽暑」に分けているほか、「気虚」(「気」が弱まっている状態)がその原因だと考えている。「陰暑」はサラリーマンが冷房の効いたオフィスで働いたり、冷たい飲み物やアイスクリームなどを食べたりして熱を体に閉じ込めてしまうこと。熱が体から抜けようとしても冷房などで押さえつけられて出ていくことが出来ず、それが頭痛となって現れる。
 
「陽暑」の典型的なものは屋外で日差しに当たり過ぎたり、発汗しすぎたりして起きる。体内の熱を追い出すには、水分が熱を体の外に持ち去ることが必要。しかし暑すぎる一方、水分の補給が足らなければ発汗だけで水分は無くなってしまう。体は鍋を空焚きしたような状態になり、のどは乾き、緊張型頭痛が起きる。精神的にも落ち着かなくなり、アレルギーや吹き出物も現れる。当然、体調は悪くなる。
 
すでに軽微な暑気あたりだった場合の対応について、漢方医はまず「刮痧(かっさ)」で毛穴を開いて熱を逃がすことを薦めている。「刮痧」は牛の骨などで作った櫛のような板で首筋などをこすって行う伝統的な治療法。また、冷感の塗り薬を頭部に塗るなどして症状の緩和を図るのも良い。夏には水分を十分補給するほか、緑豆のスープやスイカを食べて暑気払いし、体力を養う。ただ、スイカは「涼性」が強い。体が冷えすぎるのを防ぐため夜間の食用は控えるべきだという。
 
 

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