2025/07/09

Taiwan Today

文化・社会

世界から注目集める台湾小説、アジア文学ブームが追い風

2019/07/23
台湾文学作品は、世界のアジア文学ブームを追い風に、近年、次々に英訳され、海外で出版されている。(博来客提供、中央社)

台湾文学が海外でも親しまれるようになり、翻訳本が相次いで出版されている。台湾の作家、呉明益(Wu Ming-yi)さんの作品「単車失竊記(The Stolen Bicycle)」は、英語版が出版され、世界的な権威を持つ英国のマン・ブッカー国際賞(The Man Booker International Prize)にノミネートされた。さらに、王定国(Wang Dingguo)さんの「敵人的桜花(敵の桜)」も、英出版社Portobello Booksによって版権が購入され、今年 、英語版が出版された。このように、国際的な出版業界では、徐々にアジア文学ブームが生まれつつある。

文化部は(日本の文部科学省に類似)は2014年から「台湾文学の版権輸出計画」を開始した。同計画では、BFT(Books From Taiwan)を発行、試験的に翻訳した台湾の出版物を紹介して、世界で台湾文学の版権セールスが展開できるよう推進する。

現在、複数の海外の出版社が中国語文学の英語版の出版ビジネスに参入している。各国の英訳出版物を扱うNYRB(ニューヨーク・レビュー・オブ・ ブックス)からは、中国の小説家、張愛玲さんや台湾の小説家、邱妙津さんの作品が出版されている。また、米国の世界最大の出版社、ペンギングループのランダムハウス(Penguin Random House)もこの傾向に注目している。さらに近年、米コロンビア大学からは、台湾の作家、齊邦媛さんの「巨流河」が出版された。

国際的な出版社からは、年々、アジア文学を重視するようになっている。このことは、世界的に議論されるテーマへの関心が示されている。読者は意識的に自己中心性から脱却して豊富な世界へと目を向け、多様な民族やその違い、異文化を理解しようという意識を持つようになった。

世界の文学界が、こうしたトレンドを取り入れていることから、数々の国際文学賞は、次々に関連作品を評価する賞を設けている。マン・ブッカー文学賞は、2016年に国際賞を設けたほか、米国で最も権威のある全米図書賞は、2018年に初めて翻訳書部門を設立した。これは伝統的な英語文学作品とは異なる出版トレンドの新たな1ページといえる。

台湾だけでなく、アジア各国の作家は、故郷の文化的エッセンスを根底に持って母国語または英語で書かれたそれらの作品は、アジアの視点に立った歴史的な記憶、社会環境や生活スタイルが克明に描写されている。

英国の有名出版社、Maclehose Pressは 、中華圏で絶大な人気を持つ武侠小説家の金庸さんの作品、「射鵰英雄傳」、「神鵰俠侶」、「倚天屠龍記」などの英語版を一年に一冊のペースで、続々と出版している。

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