2025/04/30

Taiwan Today

文化・社会

台湾漫画家の陳筱涵さん、仏アーティストインレジデンスに参加

2019/10/02
仏BD BOUM協会が運営するメゾン・デ・ラBDにおけるアーティスト・イン・レジデンス・プログラムには、台湾の漫画家・イラストレーター、陳筱涵さんが参加する。年末より3カ月間滞在し、創作活動に励む。写真は陳筱涵さんの作品「尋根(En quete de racines、ルーツを探し求めること)」の一部。(陳筱涵さんのインスタグラムより)
文化部(日本の文部科学省に類似)が、フランスを中心とする地域の漫画、バンド・デシネ(bande dessinée、略称BD)を世界に発信する仏BD BOUM協会が運営する「メゾン・デ・ラBD(Maison de la BD)」と提携して行う台湾漫画家によるアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの最終選考結果が発表され、台湾の漫画家・イラストレーター、陳筱涵(Stellina Chen)さんによる創作プロジェクト「尋根(En quete de racines、ルーツを探し求めること)」が、選考委員会から高い評価を得て採用されることに決まった。そのプロジェクトでは、年末に仏中央部ロワール=エ=シェール県の都市、ブロワにおいて、3カ月間のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムを実施する計画だ。
 
プロジェクト発案者の陳筱涵さんは、仏パリで国際関係学を学び、台湾の多言語ウェブサイト「關鍵評論網(The News Lens)」国際版と3年以上の協力関係を結んだ経歴を持つ。陳筱涵さんは、オランダのジャーナルコミックサイト「Cartoon Movement」のレギュラー作家となり、仏語の週刊新聞「クーリエ・アンテルナショナル(Courrier International)」にも作品が度々採用されている。陳筱涵さんの作品は、台湾人としての観点から洞察を下し、国際ニュースに関する様々な見解を紹介している。
 
陳筱涵さんの「尋根」プロジェクトでは、祖父母の物語を図案として記録し、台湾に様々な記録を残す狙いだ。文化部は、陳筱涵さんに対し、台仏の往復航空券とパリからアーティスト・イン・レジデンスまでの交通費、滞在中の3カ月間の生活費を援助する。さらにメゾン・デ・ラBDが、宿泊施設とアトリエを提供する。
 
BD BOUM協会との提携は、フランスで毎年開催される欧州最大規模の漫画イベント、アングレーム国際漫画祭のアーティスト・イン・レジデンスとの提携によって、台湾の漫画家をフランスへ派遣したことに次ぐもの。文化部は、BD BOUM協会と2017年に協力覚書を締結すると共に、アーティスト・イン・レジデンス・プログラムの参加者に、台湾の漫画家、何学儀さんを任命した。
 
メゾン・デ・ラBDは、1984年に設立されたBD BOUM協会が運営する。設立にあたり、ソーシャルワーカー、教師、教育者などが発起人となった。メゾン・デ・ラBDは、2015年2月からスタートし、教育、展示、創作の三大使命を担う施設となっている。
 
BD BOUM協会と同名の、仏ブロワで開催されるBD BOUM漫画祭は、アングレーム国際漫画祭、サンマロ(Saint Malo)で開催される漫画祭、Festival Quai des Bullesに次ぐ規模で、フランス三大漫画祭りの一つとして挙げられている。
 
アーティスト・イン・レジデンス・プログラムの他、台湾で最高栄誉とされている漫画賞「金漫奨」が今年、BD BOUM漫画祭の提携パートナーとなった。BD BOUM漫画祭のキュレーターや演出家を「第10回金漫奨国際交流イベント」に招待し、シンポジウムや台湾の漫画関係者との交流イベントを開催する。さらに、台湾初となるBD BOUM漫画祭ブースを設置し、金漫奨を受賞した漫画家の作品を展示する計画だ。今年のBD BOUM漫画祭は、11月22日から24日まで仏ブロワで開催され、国内外から200人の漫画家や70の関連業者が参加する。今回アジア地域からは、台湾が唯一の参加国・地域となっている。

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