2025/05/25

Taiwan Today

文化・社会

康木祥さんのワイヤーアート、ドイツの人々が募金で永久展示へ

2019/10/02
康木祥さんの作品『無限智』の除幕式が9月30日、ドイツ・ニーダーザクセン州ディープホルツの聖ニコライ教会前で行われた。地元住民が募金活動によって作品を購入し、この場所に永久的に展示することになった。(台北101提供、中央社)
ドイツのニーダーザクセン州にあるディープホルツ(Diepholz)は再生可能エネルギーの街として知られている。風力、メタンガス、太陽光による発電量は、1万6,000人の全住民の電力使用量をはるかに上回る。この街は台湾との縁も深い。台湾糖業の各工場で活躍するディーゼル機関車で最も多いのがドイツDIEMA社製のものだが、同社の発祥地はディープホルツだ。
 
そのディープホルツの住民がこのほど、台湾の芸術家、康木祥さんの大型作品『無限智(=無限の知恵)』を購入し、永久に展示することを決めた。康木祥さんは、台湾北部・台北市のランドマークである超高層ビル、台北101ビルの使用済みワイヤーを利用して作った大型作品『無限生命(=無限の命)』で知られる芸術家。この作品は現在、「台北101ビル」前の広場に展示されている。
 
『無限智』も『無限生命』と同じく、台北101ビルの使用済みワイヤーを利用して作った大型作品。2017年にドイツのベルリンで展示された後、ディープホルツで1年間展示されることになっていた。しかし、ディープホルツの住民たちは、使用済みの冷たいワイヤーが、芸術家の手によって生命力を持った作品に生まれ変わったことに感動。この作品をディープホルツに留まらせるため、募金活動を実施して作品を購入することを決めた。
 
この活動の責任者であるReinald Schröderさんによると、一部の資金を負担してくれるスポンサーを探し出した後、住民たちは自発的にポスターを作成し、今年4月に「台湾の夜」と題する音楽会を開催し、募金を行った。
 
また、ディープホルツの同郷組織の責任者を務めるRichard Bitterさんは今年初め、ドイツ在住の台湾人である楊桜鳳さんの協力を得て、一部の地元住民たちと台湾を旅行した。康木祥さんのアトリエを訪ねたほか、台湾南部・台南市の烏樹林休閒園区にある台湾糖業のディーゼル機関車も見学し、深い感銘を受けたという。
 
Richard Bitterさんによると、康木祥さんの作品は別の文化圏からやって来たアートとして、ディープホルツのランドマークである聖ニコライ教会前に永久的に展示される。ディープホルツが世界に対して開放的な街であることを象徴するものになるという。
 
康木祥さんの作品『無限智』の除幕式は9月30日に行われた。康木祥さんのほか、台北101ビルの劉家豪運営長、ディープホルツの市長、教会関係者や地元議員などが参列した。主催者は特別に台湾語民謡『心肝宝貝』を流し、この芸術作品に対する思い入れを表現した。
 
康木祥さんは取材に対し、「ディープホルツの住民がこの作品を残すために募金活動を行っていると聞いたときは非常に感動した。台湾では廟宇を建設するときくらいしか、住民たちが募金活動を行うことがないからだ」、「『無限智』が地球上の、台湾からずっと離れたドイツで永久に展示されることは、(台北101ビルという)台湾を代表する高層ビルのワイヤーが特別なエネルギーを持っていることを意味している」などと述べている。
 

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