2025/04/04

Taiwan Today

文化・社会

「一心二聖三多・・・」 高雄市の道の名付け親は誰?

2019/10/25
「一心、二聖、三多、四維・・・」すらすらと口をついて出る高雄市の道路の名前は誰が考えたのか。それは半世紀以上前、高雄市の民政局で働いていた若手職員(当時)の林金枝さんが苦心して命名したものだった。(黄碧端さんのフェイスブックより)
「一心、二聖、三多、四維・・・」すらすらと口をついて出る高雄市(台湾南部)の道路の名前は誰もが覚えやすいもの。しかし、その名称は一体誰がつけたのだろう。教育部(日本の文科省に類似)の元政務次長(副大臣)、黄碧端さんがこのほどその秘密を解いた。名付け親は半世紀以上前、高雄市の民政局で働いていた若手職員(当時)の林金枝さんだったのだ。
 
黄碧端さんは先ごろ講演のため高雄市を訪れた際、会場に大勢の高雄市民が集まったにもかかわらず、誰も高雄市の道路名称の由来を知らないことに気がついた。そこで黄さんは自身のフェイスブックで命名のいきさつを皆に紹介、当時の名付け親が表彰されるよう期待すると共に、この歴史が埋もれてしまわないようにと願っている。
 
高雄市の道路名には従来、日本人の使う「町」や「目」といった名称が用いられた。1945年に日本が敗戦、台湾が「光復」(中華民国に復帰)すると、初代高雄市長となった連謀氏は道路名の再編に着手した。その結果、主要な幹線道路10本に、「一心、二聖、三多、四維、五福、六合、七賢、八徳、九如、十全」という上品かつ理屈にかなった名称が与えられたのである。
 
これらの名称は当時、高雄市民政局に務めていた若手職員、林金枝さんがつけた。1980年、黄碧端さんが高雄市にある国立中山大学で教鞭をとっていたころ、すでに60歳近くの林金枝さんは同市の民政局長になっていた。林金枝さんが黄さんに直接語ったところによると、台湾が「光復」した時、林さんは中国大陸福建省の泉州から台湾に渡ってきたばかりの20歳あまりの若者だった。しかし上司から道の新しい名前を考えるよう命じられ、苦心の末、これら典拠があり有意義で、さらには覚えやすい10の名称を考え出して提案、上司もこれを受け入れたため今に至っても使用されているのだという。
 
林さんは南から北に向かって、「一」から「十」まで数字に沿った名称をつけた。
 
一心路:《書経・秦誓》にある「予臣三千惟一心」、《管子・法禁》にある「武王有臣三千而一心」より。「人々が心を一つにする」という意味をとった。周の武王の臣下は数千人に及んだが、団結していたことから国は栄えることとなった。
 
二聖路:「二聖」とは周の文王と武王の2人の王を指す。《漢書‧韋賢傳》にある「成王成二聖之業,制礼作楽,功徳茂盛」よりとっている。「二聖」の下で制度が作られ、徳が広まった。しかし一般的な言い方での「二聖」は「文武二聖」で、孔子と関公(関羽)を意味している。
 
三多路:《荘子・天地》にある「使聖人富,使聖人寿,使聖人多男子」から「多福」(「多富」と発音が似ている」)、「多寿」、「多男子」の意味をとった。「多くの財を得、長寿で、男児に恵まれますように」というお祝いの言葉で、今も使われている。
 
四維路:《管子・牧民》にある「国有四維:一曰礼,二曰義,三曰廉,四曰恥」からとったもの。「四維不張,国乃滅亡」(4つの「維」が広められなければ国は滅ぶ)とも言い、礼(礼儀)・義(正義)・廉(清廉)・恥(恥をしること)の4つを立国の紀律にすることを意味している。「維」の本来の意味は馬車の覆いを結ぶ綱。ここでは「綱紀」に定めることを示す。
 
五福路:《書経・洪範》にある「五福:一曰寿,二曰富,三曰康寧,四曰攸好徳,五曰考終命」から。人生における5つの幸せ、「長寿」、「財産」、「健康」、「名誉」、「天寿を全うすること」を示す。
 
六合路:《荘子・齊物》にある「六合之外,聖人存而不論:六合之内,聖人論而不議」(聖人は宇宙の外のことを知っていても語らない。宇宙の中のことは語っても決め付けて主張はしない)から。「六合」は天・地・東・西・南・北のことで宇宙全体を指す。
 
七賢路:「竹林七賢」は魏晋南北朝時代の嵇康、阮籍、山濤、向秀、劉伶、阮咸、王戎の名士7人のこと。共に竹林に遊び、詩や文で交友した。深い友情を象徴している。
 
八徳路:「八徳」は伝統的な8つの「徳」。忠・孝・仁・愛・信・義・和・平のこと。
 
九如路:《詩経・小雅・天保》にある「如山如阜,如岡如陵,如川之方至,以莫不増,如月之恒,如日之升,如南山之寿,不騫不崩,如松柏之茂,無不爾或承」から。「(神の恩恵は)山の如く、丘の如く、尾根の如く、丘陵の如く、川の如くやって来て増えるばかり。(あなたさまは)月が満ちるが如く、陽が昇るが如く、南山の長寿の如く、その国が衰えることは無い。(あなたさまが)松柏の茂るが如く、子々孫々幸福でありますように」というお祝いの言葉。9つの「如く」がある。
 
十全路:《周礼》にある「十全為上,十失一次之」(10人治療して全員治るのが特等。1人治らないのがそれに次ぐ)より。「十全十美」(全てがそろって完璧であること)を意味する。
 
 

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