衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)国民健康署は10月1日より10月31日まで、赤ちゃんの誕生を心待ちにする妊婦や父親によるフォトコンテスト「挺大肚迎宝貝、我拍照我驕傲(=大きなお腹で赤ちゃんを迎えよう、私の誇りを私が撮影する)」を実施した。合計400点近くの作品が寄せられた。妊婦の大きく膨らんだお腹の写真と、赤ちゃんを心待ちにする両親のコメントを通して、「男の子、女の子のどちらも宝である」という価値観を強調すると共に、妊娠した女性の美しさを表現するのが狙い。公式サイトでは現在、「創意奨(=賞)」の受賞作品を公開すると共に、抽選キャンペーンを実施している。
国民健康署は2012年と2016年、台湾本島の20県・市(離島にある金門県と連江県を除く)で一般市民と出産直後の女性を対象に、「子どもの性別に対する見方」の調査を実施した。その結果は以下のとおり。
一、「子どもの性別に対して、特にどちらが良いという考えはない」と回答した人の比率
一般市民は2012年の71.1%から、2016年は74.9%に上昇
出産直後の女性では2012年の64.6%から、2016年は73.6%に上昇
二、「どちらかと言えば男子を希望する」と回答した人の比率
一般市民は2012年の10.1%から、2016年は6.5%に低下
出産直後の女性では2012年の14.7%から、2016年は8.4%に低下
三、「次に生む子どもの性別」について
「男女のどちらでも良く、特にどちらが良いという考えはない」と回答した人の比率が、2016年は女性本人、夫あるいは夫の両親のいずれも2012年の数値を上回った。
こうした結果から、国民の多くがすでに「子どもは男女どちらでも良い」という考えを持っていることが分かる。これは、かつての「男子のみが家を継ぐことができる」という考え方や、男尊女卑のステレオタイプな考え方に変化が生じていることを意味している。しかも、子どもの性別に対して特に希望を持っている父親や母親においては、「どちらかと言えば女子を希望する」と回答した人が、「どちらかと言えば男子を希望する」を上回るという傾向が見られた。
国民健康署は2010年、出生時男女比の不均衡を解消するため、「出生性別比工作小組」と呼ばれるワーキンググループを立ち上げ、男女の産み分けや、性別を選択するための人工妊娠中絶を禁止する法制度を整えた。同時に、出生時男女比の監視を続け、医療関係者の教育訓練を実施し、国民の啓蒙活動に力を入れ、さまざまなアプローチから「男の子、女の子のどちらも宝である。男女の産み分けを拒否する」という観念を植え付けた。その結果、2018年における出生時男女比は1.069となり、すでに均衡に近づきつつあることが分かった。