台湾の体操選手、丁華恬(TING Hua-Tien)選手は、10月11日に17歳を迎えたばかりの台湾体操女子における期待のホープだ。国際体操連盟(FIG)は先ごろ、丁華恬選手が改良を加えた床運動における技をD難度の新技と認定し、「丁華恬」と命名することを決定した。これは台湾体操選手で初めて、技名に選手の名前が採用されるという快挙になる。
丁華恬選手は、2019FIG種目別ワールドカップ・メルボルン大会で初めて、今回命名された新技を披露した。この新技は、たとえかつての技を改良したことによる新たな手法であっても、丁華恬選手が世界で初めて披露したことに違いない。
FIGが正式に「丁華恬」と命名することを発表してから、世界各国の選手の中には、競技中で新技「丁華恬」を取り入れる動きがみられるという。
丁華恬選手のコーチ、蔡恆政さんは、新技の申請の経緯について、「丁華恬という新技は、従来の技を改良してさらに難しい伸身で行うというもの。当初は、挑戦してみると良かったので、国際的な競技大会の演技にも取り入れられると思っただけだった。FIG種目別ワールドカップ・メルボルン大会の時に、審判からFIGへ新技の申請を勧められて、申請してみたところ、FIGの認可を得たという、我々にとっては予想外のエピソードとなった」と説明した。
丁華恬選手は、今年台湾で最も活躍する女子体操選手との呼び声も高い。FIGの認可のほか、今年の世界体操競技選手権大会において、台湾の女子体操選手で51年ぶりとなるオリンピック出場権を獲得した。蔡恆政コーチは、今後、東京2020オリンピックに向けた準備に注力するため、まずは基本技の強化を重点的に行うとし、丁華恬選手が更なる発展を遂げ、オリンピックにおいて種目別競技で決勝戦まで進めるよう全力でサポートしていく構えだ。
なお、台湾ではかつて、多くの選手が新技を開発し、命名の申請をしてきた。今年には、あん馬の名手、林祥威選手の「林祥威ターン」やあん馬王子と呼ばれ昨今、めざましい躍進を遂げている李智凱がFIGへ申請を行ったが、いずれも体操界の歴史に自らの名前 を冠した技を残すという夢は叶わなかった。