2025/06/20

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文化・社会

2019年を表す漢字は「乱」、11年ぶり二度目の選出

2019/12/13
台湾の「今年の漢字」が今月上旬に発表された。選ばれたのは「乱」の文字。2008年以来、11年ぶり2度目の選出となった。写真左は中国信託文教基金会の馮寄台董事長(=会長)。右から2人目は聯合報の范凌嘉編集長。(聯合報)
日本では12日、漢字1文字で今年の世相を表す「今年の漢字」に「令」が選ばれた。台湾でも2008年以降、毎年年末になると「今年の漢字」を選ぶ。12年目となる今年、台湾で選ばれた漢字は「乱」だった。「乱」は2008年、初代「今年の漢字」に選ばれたことがあり、11年ぶり二度目の選出となった。
 
台湾の「今年の漢字」を選ぶのは、中国信託文教基金会と大手新聞社「聯合報」。各界の著名人や一般人から推薦された漢字の中から、まず42の漢字を選び、24日間の投票を経て、最後に1文字を選ぶ。投票参加者は年々増えており、今年の累積投票数は過去最多の7万9,915票に達した。
 
ちなみに、今年得票数が多かった上位10の漢字は順に、「乱」、「謊」、「憂」、「跨」、「驚」、「慮」、「啓」、「詐」、「換」、「孤」の順。トップの「乱」は1万323票を獲得し、2位の「謊」を4,000票近く上回った。
 
中国信託文教基金会の董事長(=会長)で、かつて台北駐日本経済文化代表処(東京都港区。日本における中華民国大使館に相当)で代表(=駐日大使に相当)を務めたことのある馮寄台氏は「11年の歳月を経て、『乱』が再び選ばれたことは感慨深いものがある」と述べた。
 
ちなみに馮寄台氏が選んだ「今年の漢字」は「孤」。これは今年の投票で10位にランクインした漢字だ。外交官として30年余りのキャリアを積み重ねてきた馮寄台氏は、「国際社会における台湾の孤軍奮闘は骨身にしみて知っている。台湾は世界で最もフレンドリーな国でありながら、世界では孤立を余儀なくされている。しかし、『徳は孤ならず、必ず隣有り(=本当に徳のある人は孤立したり、孤独であるということは無いという意味)』という言葉があるように、台湾は必ず孤独から抜けだせると信じている」と語った。
 
聯合報の編集長を務める范凌嘉氏は、「乱」が再び「今年の漢字」に選ばれたことに苦笑しながらも、「乱」の一文字で今年を表現することは、確かに非常にしっくりしており、台湾の人々の知恵に感服するとコメントした。范凌嘉氏はまた、「世界情勢を見ても、香港からスペインに至るまで、世界各地で情勢の混乱があり、衝突が発生した。イギリスのEU離脱、米中貿易摩擦、北朝鮮によるミサイル発射など政治的な衝突もあった。台湾に目を向けてみると、初めてのパイロットによるストライキ、国交樹立国の相次ぐ断交、それに総統選挙に向けた党内予備選から立法委員(=国会議員)選挙の比例代表名簿をめぐる混乱など、目まぐるしく新たなニュースが生まれ、人々の心も多いに乱れた」と指摘し、「乱」の漢字が選ばれた今年の背景を分析した。
 
その上で范凌嘉氏は、「この難関をクリアすれば、台湾の社会はより成熟するだろう。大局的に見れば、今年はさまざまな『乱』があったが、それらはいずれも民主主義の転換と地固めにつながるものだ。最終的に人々が最良の選択を下し、短期的な混乱を、長期的な安定へと変えていくものと信じている。来年は誰もが順調に過ごせ、『臨危不乱(=危機に直面しても取り乱さないという意味)』であるよう願っている」と述べた。
 
「乱」を「今年の漢字」に推薦した著名人の中には、映画監督の李安(アン・リー)氏がいる。李安氏は「台湾は明らかに、どこもかしこも緊張状態にあった。『乱』はある種、理想に対する反動だ。ここから教訓を得て、台湾の人々がいつの年か『和』の字を選び、互いに理解し、尊重し、和気あいあいとできる日が来ることを願う」と語った。
 
もう一人、「乱」を推薦した著名人は国立清華大学の栄誉教授(=名誉教授)である李家同氏だ。プユマ号の脱線事故の事故原因について、政府は始終明確な答えを与えていない。また、学習指導要領の改正に伴って生まれた怪しげな問題など、「この国は確かに乱れている」と思ったのがその理由だという。
 
台湾における「今年の漢字」選びは2008年に始まった。中国信託文教基金会と聯合報が実施するもので、各界の著名人や専門家から漢字を推薦してもらい、その中から一般市民が投票で選んでいる。過去11年間の「今年の漢字」は「乱」、「盼」、「淡」、「讃」、「憂」、「假」、「黒」、「換」、「苦」、「茫」、「翻」となっており、12年目の今年は「乱」が再び選ばれた。2回選ばれた漢字は、現在のところ「乱」だけとなっている。
 

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