教育部(日本の文科省に類似)体育署が19日、「体育運動菁英奨」(Sports Elite Awards、スポーツエリート賞)の授賞セレモニーを開催した。今年はプレゼンターが自分に賞を手渡す場面が男女共に見られた。男子体操で「あん馬王子」という異名を持つ李智凱さんはスポーツエリート賞で初めてとなる2年連続の受賞。「最佳男運動員奨」(最優秀男子選手賞)を昨年に続いて今年も手にした。また、女子重量挙げの郭婞淳さんは3度目の「最佳女運動員奨」(最優秀女子選手賞)に輝いた。2人はいずれもプレゼンターを務めたため、自ら自分に賞を手渡すことに。「最佳教練奨」(最優秀コーチ賞)にはアーチェリーの代表チームが東京オリンピックで最大の出場枠(男女各3選手)を手にするのを支えた林政賢コーチ。「最佳新秀運動員奨」(最優秀新人選手賞)には男子競泳の王冠閎さんが選ばれた。「終身成就奨」(特別貢献賞)には「野球の紳士」と称される林華韋元代表監督、「特別奨」(特別賞)には陸上競技のコーチでウルトラマラソンを推進した潘瑞根さんが選出された。
潘瑞根さんは昨年の「師鐸奨」(教育部が優良な教師を表彰する賞)に続いて今年はスポーツエリート賞の特別賞を受賞。2021年8月には定年退職し、ボランティアとしてスポーツ教育やトレーニングの指導を行うつもりだという。潘瑞根さんは、「国は我々を粗末に扱ってはいない。まじめに働き、控えめに正しい人間として生きていれば認められる日が来る」と語っている。コーチとして36年にわたって指導に当たってきた中で唯一の心残りはオリンピック選手を育て上げられなかったこと。しかし潘さんはそれならばとアジア大会で活躍する選手を育成した。
最優秀新人選手賞を受賞した王冠閎さんは台北市立建国高級中学(=高校、台湾北部・台北市)に通う17歳。王さんは今年競泳の男子200Mバタフライでオリンピックの参加標準Aを突破し、東京オリンピックの出場権を獲得した。王さんは、受賞は予想していなかったとした上で、一応スピーチは用意していたがステージに上がると頭の中が真っ白になってしまったと初々しいところを見せた。
今年のスポーツエリート賞では男子体操の李智凱選手(最優秀男子選手賞)、女子重量挙げの郭婞淳選手(最優秀女子選手賞)、アーチェリーの林政賢コーチ(最優秀コーチ賞)、2019年アーチェリー世界選手権女子代表チーム(「最佳運動団隊奨」=最優秀スポーツチーム賞)、男子競泳の王冠閎選手(最優秀新人選手賞)、プロ野球の彭政閔さん(「最佳運動精神奨」=最優秀スポーツマンシップ賞。彭政閔さんは今シーズン限りで現役を引退)、国立台湾体育運動大学(台湾中部・台中市)の林華韋学長(特別貢献賞)、陸上競技の潘瑞根コーチ(特別賞)に、合わせて8つの賞が授与された。
野球選手出身で現在は国立台湾体育運動大学学長の林華韋さんは末端の野球選手から代表チーム入り、引退後は代表チームのコーチや監督を数十年にわたって務めた。専門能力と様々な役割を担う能力を備えており、スポーツ界でのキャリアも完璧。国際的な視野ならびに国際交流での経験と能力も十分で、スポーツの実践者としての精神を持っている。
「ウルトラマラソンの推進者」である潘瑞根コーチは特別賞を受賞した。現在は台北市立成淵高級中学(台北市)に勤務。心臓のステント手術を受けたため学生と共にトラックで練習することこそ出来なくなったが、潘コーチは自らの実戦経験とスキルを学生たちに伝授しているばかりでなく、心を込めて選手たちの多元的な能力を育て、学習と成長を支えている。