2025/05/07

Taiwan Today

文化・社会

冬至に「湯圓」を食べるのはなぜ?食べるとひとつ歳をとる?

2019/12/20
ふるさとを離れて勉強したり、働いたりしている人たちにとって、冬至の一番の楽しみは里帰りして家族と一緒に温かい「湯圓」(写真)を食べること。陰陽の入れ替わる冬至に「円満」や「団欒」を象徴する「湯圓」を食べて幸せを願うのだ。(南投県サイトより)
ふるさとを離れて勉強したり、働いたりしている人たちにとって、冬至の一番の楽しみは里帰りして家族と一緒に温かい「湯圓」を食べることだろう。「湯圓」はもち米の粉で作った丸く小さいお団子のこと。砂糖入りの湯で煮て、その湯と共にお椀に入れて供される。また、やや大きく、あんこやピーナッツ餡などが中に包まれているものもある。スープには野菜や肉類を加えてもいい。台湾の人たちにとって冬至の風物詩になっている「湯圓」。ではなぜ冬至にこれを食べるのだろうか。
 
冬至は旧暦の24節気のうち最も重要な節気の1つ。24節気は地球の自転と公転の周期によって決められる。冬至はまさに1年で昼間が最も短い日で、「冬節」とも呼ばれる。冬至以降は昼間の時間がゆるやかに長くなっていく。万物を育てる「気」の「陽気」が徐々に回復してくるわけであり、人々は「一家団欒、円満」を象徴する「湯圓」で「陽気」を迎え、「湯圓」を食べることで万事の円満と家族全員の団欒を願う。このため冬至に「湯圓」を作って神様や祖先を祭る風習があるほか、婚礼や引越し、神様の安置など民間での重要な行事の中でも、「湯圓」を食べて「円満」を願う習わしがある。
 
冬至に食べる「湯圓」は俗に「冬節圓」とも称されて紅白2色。小さくて中には何も包まれていない。冬至は昼夜の長さが逆転する日で、紅白の「湯圓」は陰陽の入れ替わりを象徴している。また、餡入りの大きな「湯圓」は「圓仔母」と呼ばれる。餡の多くは胡麻餡やあんこで、今では食品メーカーの多くがこの種の「湯圓」を販売している。餡の種類はバラエティ豊かで、今ではこうした「湯圓」が子どもたちにとってなじみのある「湯圓」になっている。
 
冬至の日、家族の中の年長者はいつも「『湯圓』を1個食べるとひとつ歳をとるぞ」と話す。このため早く大人になれるよう望む子どもたちはあわてて数個の「湯圓」をほうばることになる。ただ、「『湯圓』を食べると歳をとる」というのは年長者が子どもたちをからかう冗談ではない。この言い方の始まりは、古くは周の時代から漢の時代の初期まで遡ることが出来るという。当時の「年度」における1年の開始は冬至で、この日は天を祀って「添歳」(歳を重ねること)した。後になって、詩人の陸游がその作品の中で、「吃盡冬至飯便添一歳」(冬至の食事をすればひとつ歳をとる)という意味合いを伝えたことで、徐々に「冬至大如年」(冬至は正月と同じように重要)ということわざになっていった。そしてそれが、「『湯圓』を食べるとひとつ歳をとる」という伝統的な観念につながったのである。
 
また、清朝末期には冬至の「湯圓」を以って男の子が生まれるか女の子が生まれるかを占う風習が生まれた。『新竹県志初稿』(1898年)第5巻には、「妊婦が冬至に『湯圓』をあぶり、お団子がふくらんで破裂すれば(破れれば)男の子、破れなければ女の子が生まれる」と記載されている。「冬節圓」を食するときのもう1つの迷信は、レンゲに「湯圓」を2個ずつ乗せて食べていった場合、未婚者は最後に奇数の「湯圓」が残り、既婚者は偶数残るというものである。
 
今では各大手食品メーカーが次々と特色のある味の「湯圓」を生み出して我々の食欲を満たしている。ではどんな味の「湯圓」が最も歓迎されているのだろうか。あるネットユーザーがPTT(台湾の代表的なオンライン掲示板)でたずねたところ、多くのネットユーザーから代表的な味である「胡麻餡、ピーナッツ餡」を支持する声が寄せられた。「1個食べるならピーナッツ餡、たくさん食べたいなら胡麻餡」、「胡麻餡とピーナッツ餡以外は邪道」といった意見も。また、「流沙湯圓」(塩漬けアヒル卵で作ったカスタード湯圓)、「鶏蛋布丁湯圓」(タマゴプリン湯圓)、「草莓練乳湯圓」(イチゴ練乳湯圓)、「奶茶湯圓」(ミルクティー湯圓)、「抹茶包餡小湯圓」(抹茶餡入りミニ湯圓)など、新しい味のものを試すのが好きな人もいる。そしてもちろん甘くない「湯圓」を好む意見もあり、そうした人たちは、「貢丸に1票。餛飩に1票」、「肉入り『湯圓』オンリー」などと主張している。(貢丸は豚肉のつみれ団子。餛飩はワンタン)
 
 

ランキング

新着