2025/05/05

Taiwan Today

文化・社会

タイヤル族文化の口頭伝承、WatanTangaさんを人間国宝に認定

2020/01/07
文化部(日本の文部科学省に類似)の鄭麗君部長(=大臣。写真左)はこのほど、タイヤル族の伝統や文化を口頭で伝承するWatanTanga(中国語名は林明福)さん(左から2人目)に、無形文化財「Lmuhuw na Msbtunux(タイヤル族大嵙崁群の口頭伝承)」保持者としての認定登録書を手渡した。これは「人間国宝」の認定に相当する。(文化部サイトより)
文化部(日本の文部科学省に類似)の鄭麗君部長(=大臣)は2019年の最後の日である12月31日、台湾北部・桃園市復興区を訪れて、タイヤル族の伝統や文化を口頭で伝承するWatanTanga(中国語名は林明福)さんに、無形文化財「Lmuhuw na Msbtunux(タイヤル族大嵙崁群の口頭伝承)」保持者としての認定登録書を手渡した。これは「人間国宝」の認定に相当する。
 
タイヤル族にとって貴重な「Lmuhuw(口頭伝承)」は、口語による対話、歌の吟唱などの方法によって伝統や文化を伝承するもので、その内容にはタイヤル族の起源、開墾の歴史、先祖の教え、文化や風習、先祖の遺訓などが含まれている。表現や実践の方法としては、「純粋な語り」、「純粋な歌」、「語りが先で、歌があと」の3つの可能性があるが、いずれも現在に至るまで一定の伝統を守り続けている。なによりも貴重なのは、その中にはタイヤル族の言語の知恵が詰まっており、現在のタイヤル族社会にとって重要な意義を持つということ。
 
鄭麗君部長は、「文化の口頭伝承には多くの重要な意義がある。それは豊富な文化的意味、高い表現力と知識、言語能力を含み、タイヤル語の知恵の結晶とも言えるものだ。また、それは豊富な歴史的意味も持ち、タイヤル族の起源、神話、伝説、民族の移動、開墾の過程などを伝えるものである。さらには社会的意味も豊富に持つ。祖霊祭、婚礼の儀式、それにタイヤル族の人々の共通認識の形成においても、非常に重要な役割を演じている。人々の気持ちを結束させ、互いの距離を縮める機能を持つ」とし、その意味を高く評価した。
 
保持者として認定されたWatanTangaさんは、桃園地区で唯一、タイヤル族の古い言葉を明確に操ることができる長老であり、大嵙崁渓(=河川の名前)の流域に住むタイヤル族の口頭伝承を担う代表的な人物である。
 
WatanTangaさんは2012年、文化部によって重要伝統表演芸術「タイヤル史詩吟唱」の保持者に認定された。その後の8年間、WatanTangaさんは文化部と共に「Lmuhuw(口頭伝承)」保存計画を積極的に推進し、タイヤル族の言語と文化の伝承者6名を育成してきた。近年は、これらの伝承者とタイヤル族の長老19名で『Lmuhuw語典:タイヤル族口述伝統重要語彙匯編』を完成させるなど、伝統文化の口頭伝承に尽力している。
 
台湾では2019年初め、『国家語言発展法』が施行された。文化部は今回、原住民族委員会と協力し、タイヤル族と標準中国語の併記によって無形文化財登録の公告を行い、登録及び認定の理由を表記した。これによって国家言語や文化の多様性を強調し、実際の行動によって国家言語の伝承、振興、発展を促進するのが狙いだという。
 

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