台湾南部・高雄市にある橋仔頭糖廠(砂糖工場)で創設された「金甘蔗影展」(Golden Sugarcane Film Festival 以下、サトウキビ映画祭)は今年で第15回目。今年は台湾と香港から20チームがノミネートされた。同映画祭は橋仔頭糖廠の文化資産が保存され、芸術村が発展したことで生まれた。「現地で撮影し、現地でポストプロダクションを行い、現地で映画祭を開く」という世界初のユニークな映画祭で、「100%自由で100%スウィート(甘い)」を理念としている。同映画祭は映画の上映が中心となる一般の映画祭と異なり、プランの募集が主体。参加チームは橋仔頭糖廠内で、1週間かけてショートフィルムを撮影する。2006年に高雄県橋頭郷(現在の高雄市橋頭区)で第1回が行われた。前回は台湾北部・台北市が開催地だったが、今年は同映画祭が生まれた高雄市に戻っての開催となり、4日には橋仔頭糖廠の福徳祠で各チームがクランクインした。
サトウキビ映画祭は香港のドラマ・映画界から注目されており、第15回のテーマが「2020年総統選挙」だと発表されると、多数のチームが香港からエントリーした。サトウキビ映画祭協進会の蒋耀賢理事長によると、今年のテーマである「2020年総統選挙」は、台湾では2年に1度大規模な選挙が行われるという日常の事実に沿ったもので、「生活すなわち政治」であることを示す。王育麟氏、呉音寧氏、陳長綸氏、范芷綺氏、詹皓中氏が審査員を務めて各チームの提出したプランを検討、熱烈な議論を経て20チームをノミネートした。
サトウキビ映画祭ではこれまで、参加チームがみな1つの場所で撮影する方式を採用してきたが、今年は台湾全土を「2020年総統選挙」の現場とみなし、撮影地点として認めるほか、香港で起きている「時代革命」の現場も撮影地点に加えた。参加チームはどちらで撮影するかを自由に選択できる。その結果、ノミネートされたチームのうち十数チーム、人数にして100人を超える香港からの参加者たちは台湾で撮影することを選んだ。台湾中で選挙に関する情報が引き起こす事件、ならびに社会の各層、各党派の支持者、異なる世代や性別の人々の選挙に対する姿勢など様々な要素が多様なスタイルのショートフィルム20作としてつながり、共にこの時代の目撃者となる。アジア諸国の動向にも影響するであろう総統選挙を各チーム共に全力で撮影し、記録するものと期待される。
第15回サトウキビ映画祭では従来1週間の開催期間を特別に2週間に拡大。1月17日に初めて上映会を開き、18日の授賞式典で受賞者を発表する。開催期間中、金甘蔗影展全球総部(サトウキビ映画祭国際本部)もリニューアルオープンする。高雄市橋頭区興糖路6巷1号にある国際本部では映画祭開催期間中、撮影協力を行うほか、夜には毎日「星光甘蔗酒吧」(星光サトウキビバー)で「サトウキビ映画講座」を実施。過去の優秀作品を上映すると共に、同映画祭に参加したことのある人たちを招いて経験を共有する。同時に関連の映画テーマ座談会も開催する。星光サトウキビバーでは同映画祭の精神が語られ、内外の映画監督による作品が上映されるほか、台湾でもここでしか飲めないという「サトウキビ酒」が提供される。映画祭参加者には毎晩1杯、無料で提供されるほか、一般の人たちも味わうことが出来る。一般の人が飲む際の料金はサトウキビ映画祭の運営費用の一部となる。