台湾の小説家、呉明益さんの連作短編集「歩道橋の魔術師(原題:天橋上的魔術師)」には、1980年代に賑わった台湾北部・台北市の商店街「中華商場」を舞台に、ここで生活していた9人の子供のエピソードを通して、身近にあるような10の物語が収められ、それぞれのキャラクターが偶然に交錯する様が描かれている。
「歩道橋の魔術師」はこのほど、4年の制作期間を経て、漫画化作品が出版された。同書は、台湾を代表する漫画家、阮光民(Ruan Guang-min)氏と小荘(Xiao-Zhuang、本名:荘永新)氏によって「阮光民巻」と「小荘巻」の2冊に編集され、それぞれ異なる風合いを見せている。二人の漫画家の持ち味を生かした魔術師が登場し、漫画化された素晴らしい8つのストーリーが楽しめる。
「阮光民巻」には、「歩道橋の魔術師」、「石獅子會記得哪些事(石獅子は覚えている)」、「金魚」、「一頭大象在日光朦朧的街道(ギラギラと太陽が照りつける道にゾウがいた)」の4篇と中華商場に対する考察が収められた気迫のこもった一冊となっている。
一方、小荘氏は、鋭い視点と細やかな筆遣いを生かし、「九十九樓(九十九階)」、「強尼.河流們(ギター弾きの恋)」、「唐先生的西裝店(唐さんの仕立屋)」 、「流光似水(光は流れる水のように)」の4篇を繊細で感動的に描いている。
二人の漫画家が全力を尽くして描いた「歩道橋の魔術師」漫画版は、呉明益さんの小説の愛読者の期待を裏切らない出来栄えだ。
「歩道橋の魔術師」漫画版を出版した新経典文化(ThinKingDom)は、17日から2月15日まで、台湾漫画基地(台北市)にて「画像とインタラクティブアート展」を開催する。同展では、芸術家3名が5名のデザイナーによる原画、イラスト・ジオラマ、プロジェクションマッピングにおいてインタラクティブアートを手掛け、衝撃的な空間を作り上げている。
展示会では、2人の漫画家による8つのストーリーと「歩道橋の魔術師」漫画版の別冊に収録されている呉明益さんの新作小説「森林、宮殿、銅馬與畫像裡的女孩」の9篇が紹介される。