フランスで毎年開催される欧州最大規模の漫画イベント「第47回アングレーム国際漫画祭2020(Festival International de la Bande Dessinée d'Angoulême)」が1月30日から2月2日まで開催される。文化部(日本の文部科学省に類似)は2012年以降、同漫画祭に台湾パビリオンを設置している。9年目となる今年は「Passion of Taiwan Comics(台湾漫画の情熱)」をテーマに、台湾の優秀な漫画家や漫画出版社を集め、台湾漫画のブランディングに力を入れる。
今年のアングレーム国際漫画祭には、台湾で最高栄誉とされる漫画賞「金漫奨(=ゴールデン・コミック賞)」の年間漫画大賞(2019年)受賞者である星期一回収日さん、阿尼黙さん、高妍さん、呉宇実さんのほか、アーティスト・イン・レジデンス・プログラムの招へいを受けてアングレームに滞在した経験を持つPenpoint(筆頭) さん、NINさん、仏ブロワで開催されるbd BOUM漫画祭のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに参加している陳筱涵(Stellina Chen)さん、今年のアングレーム国際漫画祭で「新人賞」にノミネートされている劉倩帆さん、アングレーム国際漫画祭のデジタル漫画コンテスト「Draw Me Comics」でノミネートされている水母虫さんなどが参加し、会場を盛り上げる。
文化部は近年、巨資を投じて台湾漫画の発展の力を入れている。2018年から始めた漫画助成事業によって、現在までに200冊の単行本や雑誌が生み出されてきた。その題材やスタイルは多様で、台湾漫画が独自の道を見出していることが分かる。文化部はまた、海外のコミック・アーティスト・イン・レジデンス・プログラムや漫画祭への台湾人漫画家の推薦にも力を入れ、台湾人漫画家及び作品の海外での知名度を高めている。
今年のアングレーム国際漫画祭の台湾パビリオンは(1)出展漫画家の作品エリア、(2)推薦図書及び出版社エリア、(3)アングレーム台湾パビリオンの回顧エリアの3つで構成される。(1)では今年の台湾パビリオンを代表する漫画家の作品を紹介する。(2)では2019年の「金漫奨」の受賞作品及びノミネート作品、それに文化部が運営する海外向け優良図書推薦サイト「Books from Taiwan」の入選作品や最近の台湾の優れた漫画作品などの推薦図書、大辣、長鴻、開拓、蓋亜/原動力、角川国際、尖端、東立、威向の漫画出版社8社の新刊図書や看板作品などを紹介する。(3)は今年の台湾パビリオンの目玉となるエリア。2012年から2020年までの台湾パビリオンの歴史を振り返るエリアで、アングレーム国際漫画祭台湾パビリオンへの参加がきっかけとなって海外での出版が決まった作品を展示する。アングレーム国際漫画祭台湾パビリオンが積み重ねてきた実績を参観者に知ってもらうのが狙いだ。
今年のアングレーム国際漫画祭の「新人賞」には、世界各国500名余りがエントリーし、台湾の劉倩帆さんを含む20名がノミネートされている。デジタル漫画コンテスト「Draw Me Comics」は150名余りがエントリーし、台湾の水母虫さんを含む10名がノミネートされている。アングレーム国際漫画祭は1月30日に「新人賞」、「Draw Me Comics」の上位3位入賞者をそれぞれ発表する。
アングレーム国際漫画祭に台湾パビリオンを設置するようになった2012年以降、台湾の漫画作品が相次いで海外で出版されるようになっている。例えば日本漫画家協会から優秀賞を授与されたことでも知られる鄭問さんの『東周英雄伝』はドイツ語に翻訳されて出版された。日安焦慮さんの『ROAD TO NOWHERE世界辺縁之旅』はフランス語に、61chiさんと神小風さんの『少女與食夢獏』はフランス語とドイツ語に、陳隠升さんの『麺包師之旅』、水晶孔さんの『流浪小孩』、左萱さんの『神之郷』はフランス語に、米奇鰻さんの『最劣欧州遊記』はスペイン語に、小荘さんの『80年代事件簿』はイタリア語とフランス語にそれぞれ翻訳・出版された。文化部ではこうした国際プラットホームを利用して、これからも台湾人漫画家のオリジナル作品の海外出版や、さまざまな協力や交流の可能性を模索していきたいとしている。