世界からサーカスの若手演技者が集う第41回フェスティバル・モンディアル・デュ・シルク・ド・ドゥマン(Festival mondial du cirque de demain)が1月30日から2月2日までフランスのパリで開かれ、国立台湾戯曲学院(台湾北部・台北市)のチームが特別賞を獲得した。同イベントは世界最大のサーカステントであるシルク・フェニックスで行われた。なお、国立台湾戯曲学院は伝統的な演劇(京劇、歌仔戯など)とその音楽、美術などを12年制で教える高等教育機関。
中華民国(台湾)の代表として出場した国立台湾戯曲学院は今年、これまで得意としてきたディアボロ(ジャグリングの一種、中国ゴマ)などの個人演技ではなく団体演技に初めて挑戦、アクロバットの難度のみならず、振り付けや美術、音楽などの総合的なパフォーマンスで世界20カ国からやってきた25のサーカス団と技を競った。
国立台湾戯曲学院の演目は「月光下之霊獣降臨(Lion Dance)」(月明かりの下での霊獣降臨)で、同学院の「高職部」(高等部)と「四技部」(4年制技術大学)の合計7人が演技。東洋の伝統的なアクロバットである広東スタイルと北京スタイルの獅子舞に、台湾の先住民族の狩猟と猛獣訓練からインスピレーションを得た高難度の動作を組み合わせ、Europeenne de Spectacles社による特別賞を獲得した。
チームを率いた同学院民族技芸学科の張京嵐学科主任によると、台湾のアクロバットはこれまで中国大陸と交流することが多かった。今回フランスでイベントに参加したのは学生たちに西洋のサーカスについての見聞を広めさせるとともに、異なる国々と交流させ学ばせるためだったという。
台湾とフランスのサーカス教育とその環境について張学科主任は、「過去にフランスの国立サーカスアートセンターを訪ねた際、その教育環境やカリキュラムがいずれも台湾より多元的であることを知った。また、フランスではサーカスに対する社会のサポートも熱烈で活発だ」と語った。そして台湾でのアクロバット教育が将来進むべき方向については、「ここ10年、台湾のアクロバットは変革のさなかにある。テクニックを優先する東洋の伝統に西洋のサーカス文化を融合していく。また、時事や場面を通じた表現、ならびに芸術的イメージの創造を学ぶことで、演技者と観客の間に共感を生み出したい」と述べた。
今回のイベントで演技した蔡宏義さんは台湾のメディアに対し、「今回フランスにやって来て強く印象に残ったのは、フランスのサーカスが完全な形で発展していることだ。ステージに立つと、細かい点まで気遣われていることを感じる。だからステージで緊張することはなく、エキサイティングな気持ちになる。サーカスの舞台とはそれほど素晴らしく、観客に衝撃をもたらすものであることを身をもって感じた」と話した。