2025/05/07

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木製帆船「自由中国号」が国立台湾海洋大学へ、台湾で初めて太平洋横断成功

2020/02/14
65年前の1955年、台湾で初めて太平洋横断に成功した木製帆船「自由中国号」が近く、国立台湾海洋大学(台湾北部・基隆市)で展示されることになった。「自由中国号」は現在、国立海洋科技博物館(基隆市)の屋外にある「探索館」建設予定地に安置されている。(国立台湾海洋大学提供、中央社)
65年前の1955年、台湾で初めて太平洋横断に成功した木製帆船「自由中国号」が近く、国立台湾海洋大学(台湾北部・基隆市)で展示されることになった。
 
「自由中国号」はもとの名前を「勝孝利号」と言い、19世紀、中国・福州にあった造船業者が作った。古代の造船方法にのっとって作った船で、1955年に台湾の周伝鈞さんほか数名が出資して買い取り、「自由中国号」と改名。同年4月に基隆市正浜漁港を出発し、114日間かけて太平洋横断に成功し、米サンフランシスコに到着した。台湾では、動力を持たない木製帆船による初の太平洋横断として記録されているほか、サンフランシスコ港の29号埠頭に「自由中国号」の太平洋横断成功を伝える記念碑が立っている。
 
「自由中国号」は2009年になって米サンフランシスコで発見され、解体の危機に直面することとなった。これを知った歴史研究家の曽樹銘さんがメディアに寄稿し、台湾の政府の協力によって「自由中国号」を保存して欲しいと呼びかけた。当時、太平洋横断に参加した乗組員たちも陳情書を出し、これが政府の関心を引くことになった。こうして「自由中国号」は2012年5月17日、民間の海運大手である陽明海運によって基隆港に送り届けられた。そして同年7月11日より、国立海洋科技博物館(基隆市)の屋外にある、「探索館」の建設予定地で保管されることとなった。
 
国立台湾海洋大学の張清風校長(=学長)によると、2012年に行政院文化建設委員会(=現在の文化部)の協力により、「自由中国号」は無事台湾に帰還した。文化部文化資産局(日本の文化庁に相当)の計画では、その後の展示・保存を国立海洋科技博物館が引き継ぐことになっていたが、さまざまな理由により、現在も船体が海洋科技博物館の「探索館」建設予定地に安置されたままとなっている。屋根はシートで覆われただけの状態で、その周辺を鉄柵で囲んでいる。
 
海洋文化の保存に関心を寄せる財団法人張栄発基金会はこのほど、国立台湾海洋大学が「自由中国号」の保存計画を進めていることを知り、この計画への協力を申し出た。財団法人張栄発基金会が資金を提供し、国立台湾海洋大学商船学系(=学科)のそばに「船舶園区」を建設。ここに「自由中国号」を運び込み、一般公開する計画だという。
 

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