2025/08/13

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武侠小説ファンが30年待ち望んだ『阿鼻剣前伝』、ついに発売

2020/02/15
1990年に漫画として出版され、その奥深さでファンを魅了した『阿鼻剣』の「前伝」が小説となって1月に発売された。武侠小説ファンが30年間待ち望んだ作品だという。写真は14日、読者たちとの座談会に出席した作者の「馬利」こと郝明義さん(中央)。(中央社)
武侠小説ファンが30年間待ち望んだ『阿鼻剣前伝』が今年1月、ついに発売された。作者の「馬利」は大塊文化出版股份公司の郝明義董事長(会長)のペンネーム。1989年、「馬利」は武侠漫画で知られる漫画家の故・鄭問氏(1958~2017)とのコンビで『阿鼻剣』を生み出した。「馬利」はシナリオを担当。漫画の『阿鼻剣』は1990年に2巻(1部と2部)が発表されているが、それは三部作のうち現世の物語。「馬利」はその後2008年に小説『阿鼻剣前伝』の連載を始めており、この部分は三部作のうち前世にあたるという。
 
郝明義董事長がかつて語ったところによると、『阿鼻剣』の創作では最初から前世と現世を描く考えだった。鄭問氏とのコンビで出版した1部の「尋覓」と2部の「覚醒」はいずれも現世である前半部分。まず1部と2部で主人公の「何勿生」を登場させ、そこからさかのぼって前世の物語を展開させる。そして最後に、「何勿生」の覚醒後、現世ですべきことは何かを語る。こうした構想のもとで郝明義董事長は鄭問氏とタッグを組み、30年前に漫画『阿鼻剣』2巻を生み出したのだという。
 
『阿鼻剣』は台湾漫画のレジェンドの1つで、鄭問氏にとっても漫画家人生のターニングポイントとなった作品。鄭問氏独特の水墨画調の作画技術は武侠漫画を新たなステージへと押し上げた。一方、脚本家の「馬利」は武侠小説の要素を見事につなげて構成しなおすと共に、読者に深く考えさせる仏教の教義も取り入れた。これらが合わさり、この武侠漫画は激しい切り合いだけだった従来の武侠ものとは異なる、より奥深い作品になったのである。
 
小説版の『阿鼻剣前伝』では前世での物語が集中的に語られており、「阿鼻剣」の由来や「何勿生」がいかにして「摩訶剣」の重要な護衛から、阿鼻(阿鼻地獄)の使者に転じ、そしてさらには「尊者」(仏教の聖人)となっていくかが描かれている。物語は全て、阿鼻の9番目の使者が第三者として回顧する方式で進められる。
 
過去30年間、常に『阿鼻剣前伝』の小説版に関する問い合わせを受けてきたという郝明義董事長によると、この小説は五代十国の乱世が物語の背景。郝董事長は執筆を始めるに当たり、それぞれの場面と詳細を全て文字で表現してはじめて、自身が構築した世界に読者を十分引き込むことが可能になると感じたという。
 
郝明義氏は鄭問氏と共同で漫画『阿鼻剣』を創作、脚本を担当したほか、2018年には各界の識者が鄭問氏を語った書籍『人物風流:鄭問的世界与足跡』を企画、2019年には『鄭問之三国演義画集』を復刻、鄭問氏の人物像についての評論を加えた上で、台湾で改めて出版した。
 
 

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