2025/06/20

Taiwan Today

文化・社会

台英合作、合唱劇『戦争レクイエム』が28日に衛武営でアジア初上演

2020/02/27
衛武営国家芸術文化センターがロンドンを拠点とするオペラ・カンパニーのイングリッシュ・ナショナル・オペラとコラボレーションし、合唱劇『戦争レクイエム』(写真)をアジアで初上演する。(衛武営国家芸術文化センターのウェブサイトより)
衛武営国家芸術文化センター(台湾南部・高雄市)がイギリスのロンドンを拠点とするオペラ・カンパニーのイングリッシュ・ナショナル・オペラ(English National Opera)とコラボレーションし、合唱劇『戦争安魂曲(War Requiem)』(戦争レクイエム)をアジアで初めて上演する。反戦を訴える『戦争安魂曲』はイギリスの作曲家、ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten)が第二次世界大戦の空襲によって破壊された聖マイケル大教会が再建されたのを祝うために書き上げた作品で、20世紀の最も偉大な合唱作品の1つとされる。今回は台湾とイギリスの合作として2月28日と3月1日に衛武営国家芸術センターで上演される。
 
アジアでは初上演となるこの作品は、衛武営国家芸術文化センターの簡文彬芸術総監(総監督)が指揮を担当、監督のDaniel Kramer氏が率いるアーティスティック&クリエイティブチーム、ソプラノの陳美玲女史、バリトンの呉翰衛氏、国立台湾交響楽団(National Taiwan Symphony Orchestra,NTSO)、台北愛楽合唱団(Taipei Philharmonic Chorus)、そして世紀合唱団(Century VOICE Choir)らによる国際的な陣容で上演される。
 
簡文彬芸術総監によれば、『戦争安魂曲』は人道主義という普遍な価値に対する芸術からの関心を表現するのみならず、宇宙における人間の存在の小ささ、戦争への戸惑いと無力を観る者に感じさせる。そしてなにより現代の反戦への思いを伝える作品だという。衛武営国家芸術文化センターの前身は新兵のための訓練センター。それが今では世界レベルの劇場へと生まれ変わっている。そうした背景を持つこの場所で、かつ台湾の「228和平記念日」(2月28日)という特別な日に『戦争安魂曲』が上演できることについて、簡芸術総監は大変意義深いと述べている。「228和平記念日」は1947年に台湾で起きた「228事件」を反省し、国家の平和を目指すために制定された記念日。
 
『戦争安魂曲』の初演は1962年。第二次世界大戦で互いを敵視していた国同士が握手し講和することで、戦争で犠牲になった魂に安らぎを取り戻させるという内容。
 
監督のDaniel Kramer氏によると、この作品の中でウィルフレッド・オーウェン(Wilfred Owen)がラテン語で記した詩が犠牲者を追悼する画面と結びつくと、人々は強く共感することになる。同氏は、『戦争安魂曲』はそれぞれの国民、親族、そして共に戦う兵士たちの間の、戦争によっていっそう深まる関係と絆を表現すると述べ、この作品が戦争に対する世界の人々のより深い反省へとつながるよう期待している。
 
作曲したブリテンも、戦死した詩人オーウェンの作品をレクイエムの経文に加えることで戦争の悲惨さへの理解と解釈を行っている。劇中では戦後の人道主義の不振、絶えない紛争が描かれ、世界の前途が依然として暗い影に覆われていることを指摘する。『戦争安魂曲』は戦争を題材にした作品として代表的なもの。6つの楽章から構成される。カトリックの鎮魂歌を中心とした楽曲とオーウェンの詩が組み合わさり、人心を慰める傑作になっているという。
 
 

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