2025/05/06

Taiwan Today

文化・社会

「唸歌」の楊秀卿さん、成人向けアルバムを制作

2020/04/14
「唸歌(台湾語による語りと歌の伝統芸能。日本の詩吟のようなもの)」の世界で国宝級の歌い手とされる楊秀卿さん(85歳)が、エロティシズム(色情)をテーマにした成人向けの「唸歌」の収録に挑戦した。写真はアルバムのカバー写真。(アルバム『未公開的綺麗』のクラウドファンディングサイトより)
「唸歌(台湾語による語りと歌の伝統芸能。日本の詩吟のようなもの)」の世界で国宝級の歌い手とされる楊秀卿さん(85歳)が、エロティシズム(色情)をテーマにした成人向けの「唸歌」の収録に挑戦した。
 
楊秀卿さんは4歳のころ、風邪の治療が遅れたことが原因で失明。10歳から「月琴」と呼ばれる伝統楽器を背負い、弾き語りで稼ぐようになった。台湾語の伝統芸能である「唸歌」を受け継ぎ、「国宝級」と呼ばれるほどになった。
 
盲目の楊秀卿さんは、ほぼ丸暗記して「唸歌」を習得した。子どもの頃は歌詞の意味も知らず、粗暴な言葉や下ネタなども意味を理解しないまま歌っていた。観客が楽しそうに笑ってくれればそれでいいと思っていたが、あるとき人から指摘されたことで、それが「子どもにはふさわしくない」内容であることを知った。こうして楊秀卿さんは、これらの曲目を封印することを決めた。
 
音楽プロデューサーの柯智豪さんは、楊秀卿さんがエロティシズムをテーマにした曲目を数多く封印していたことを知り驚いた。しかもそれは、彼女の門下生ですら聞いたことがないという。そこで柯智豪さんは楊秀卿さんの説得を試みた。そして、楊秀卿さんの同意を得て、これらの「エロティシズムの芸術」をついに解禁することになった。
 
台湾史上、初めてとなるエロティシズムをテーマにした「唸歌」のアルバム『未公開的綺麗』はこうして誕生した。古い時代の、大人たちの娯楽と官能の世界を垣間見ることができる。
 
このアルバムは、「月琴」と「胡琴」という伝統楽器による伴奏で、楊秀卿さんが一人で複数の男女の役を演じる。台湾語に明るくない人でも、その奥深い世界が理解できるよう、歌詞は台湾語のほか、標準中国語、日本語、英語の翻訳が併記されている。ジャケットデザインなどは有名デザイナーの廖小子さんが担当。台湾らしさがあふれるデザインとなっている。
 
柯智豪さんは、「エロティシズムの芸術は古くから存在しており、どの地域、どの民族も持つもの。ただ、その表現方法に違いがあるだけ」と指摘している。
 
アルバム『未公開的綺麗』は現在、複数の音楽配信プラットフォームで有料配信している。実際のCDアルバムの発行については、柯智豪音楽工作室がクラウドファンディングで資金を募っている。
 

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