台湾南部・高雄市の教育局が21日、仕掛け絵本(飛び出す絵本)の『高雄Smile、美濃Style』を発表した。この絵本には小中学生の手による優れた絵画作品28点が収録されているほか、文字部分は客家語、標準中国語(北京語)、英語の3言語が使われている。客家語は台湾で2番目に多いエスニックグループ、客家人の言葉。高雄市美濃区では客家人が多く暮らしており、この絵本は美濃区の美しさを世界にアピールするものでもあるという。
仕掛け絵本の『高雄Smile、美濃Style』は大型本と小型本の2種類。高雄市教育局が企画し、同市美濃国民小学(小学校)が委託を受けて制作した。教育局の呉榕峯局長によると、作品は「曾文忠絵画コンクール」の受賞作品から美濃区の魅力と文化的特色を最も表しているものを採用。曾文忠氏は美濃区在住で客家人が暮らす風景を題材に創作活動を続ける著名な画家である。選ばれた絵はペーパークラフト・アーティストの洪新富氏が立体化、さらに客家語、標準中国語、英語の3言語による解説が加えられ、大型本と小型本が完成した。高雄市では、美濃区の美しさを世界の全ての人々に紹介したいと話している。
美濃国民小学の楊瑞霞校長によれば、この仕掛け絵本の内容は美濃区の建築物、名所旧跡、人々の暮らし、芸術、美食の5つの部分を網羅。ページを開くと子どもならではの純真な構図や豊かな色彩、美術の素質が見て取れる。同校ではまた、このプロジェクトを授業とも結び付け、子どもたちに仕掛け絵本の制作プロセスを体験させたという。
美濃国民小学6年生の許東澤くんは、地元のキチョウ(黄蝶)は非常に美しく、仕掛け絵本となった作品「美濃黄蝶祭」では生き生きとした蝶たちが絵から飛び出してくるかのようだと説明した。また、5年生の温子睿くんは美濃区にある獅子頭水圳(用水路)を描いた。温くんは、絵本を開くと、夏にそこで楽しんだ刺激的かつ涼しい水遊びの記憶がよみがえると話した。
劉佳欣さんは先生に連れられて、美濃区で最も早くに栄えた繁華街の永安街を訪れて写生、日本占領時代の庄役場などを描いた。劉さんは、屋根の尖端が跳ね上がっているところや曲がり角などはいずれも優雅な歴史であり感動的だとしている。
高雄市の韓国瑜市長は、教育局と美濃国民小学は心を込めてこの仕掛け絵本を完成させ、全世界の人たちに高雄市の美しさを知る機会をもたらしたと感謝。1人でも多くの人たちが同市美濃区を訪れて、客家人の豊富で多彩な文化を感じてくれることに期待した。