2025/07/17

Taiwan Today

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フォルモサット3号が5/1に運用終了、打ち上げから14年

2020/05/01
台湾の気象衛星群「フォルモサット3号(FORMOSAT-3、中国語の名称は福爾摩沙衛星三号、略称は福衛三号)」がきょう(5月1日)をもって運用を終了する。2006年4月15日(台湾時間)に打ち上げられ、運用期間は14年、5,129日間に及んだ。(国家太空中心フェイスブックより)
台湾の衛星コンステレーション「フォルモサット3号(FORMOSAT-3、中国語の名称は福爾摩沙衛星三号、略称は福衛三号)」がきょう(5月1日)をもって運用を終了する。
 
「フォルモサット3号」は世界初の、6つの衛星からなる気象・電離層・気候観測衛星群=コンステレーション(COSMIC)だ。台湾と米国による大規模な国家プロジェクトの一環として2006年4月15日(台湾時間)、米カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から「ミノタウロスI」に搭載されて打ち上げられた。当初予定されていた運用期間は5年だったがこれを大幅にオーバーし、14年間運用してきた。最近は、2019月6月に打ち上げられた気象衛星「フォルモサット7号」(FORMOSAT-7、中国語の名称は福爾摩沙衛星七号、略称は福衛7号)と共に、気象データの収集を行っていた。
 
科技部(日本の省レベル)に属する財団法人国家実験研究院国家太空中心(NSPO=国家宇宙センター)と米国の海洋大気局(NOAA)は協議の結果、「フォルモサット3号」の運用を、5月1日をもって終了させることを決定した。米国側は同時に、5月1日をもって「フォルモサット3号」からの気象データの受信と伝送サービスを停止し、「フォルモサット3号」に対する地上からのサポートを正式に終了する。
 
「フォルモサット3号」は6つ衛星からなるコンステレーション。運用開始から長年が経過し、電波が次第に弱まっていた。最近はわずかに残った1つの衛星(FM6)から少量の気象データが断続的に送られる程度で、1日に提供される気象データは数百点のみとなっていた。
 
「フォルモサット3号」の気象ミッションを引き継いだ「フォルモサット7号」は、2019年6月25日に打ち上げられ、2020年3月7日より気象データの全世界に向けた供用を行っている。中央気象局(日本の気象庁に相当)の特設サイト「台湾資料分析中心(TACC)」で毎日、前日に収集した気象データを全世界に向けて供用しており、関連機関が極端な気候、異常気象、台風の形成や進路の研究、大雨の予報や分析などに使えるようにしている。「フォルモサット7号」が収集するデータは1日当たり4,000点を超えており、「フォルモサット3号」の気象ミッションを十分にカバーしている。
 
「フォルモサット3号」の気象ミッションは、電波掩蔽法の原理を活用して大気の層構造を解析し、温度、湿度、大気圧力、電離層電子密度などを収集することだった。コンステレーションを構成する6つの衛星の宇宙での運用期間は14年、5,129日間に及んだ。収集した気象データは全世界に無料で供用され、今年4月20日至るまで世界92か国・地域、4,551人が使用した。
 
「フォルモサット3号」は「宇宙で最も精度の高い温度計」と評価されていた。ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)は2012年、「フォルモサット3号」のデータを分析した結果、「フォルモサット3号」が収集するデータの量は、気象予報で使用されるデータの2~3%に過ぎないものの、予報の誤差を縮めるための貢献度は10%に達し、貢献度ランキングはトップ5に入ると発表したことがある。
 
「フォルモサット3号」はその全盛期、数々の輝かしい記録を打ち立てている。世界屈指の国際ジャーナルである『ネイチャー』、『サイエンス』、それに大気科学やエンジニアリング等の分野のジャーナルで何度も報道されたことがある。「フォルモサット3号」は、台湾を世界少数の気象データ輸出国の一つにし、海外諸国と気象観測データの交流を行なえるようにした。掩蔽観測データ分野における台湾の国際的地位と重要性を高めるのに寄与した。
 

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