2025/05/08

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文化・社会

台湾発アプリ「Forest」、スマホ依存を解消しながらアフリカに植樹73万本

2020/05/22
台湾の時刻科技(Seekrtech)が開発したスマホ専用アプリ「Forest」は、スマホ依存から脱却し、集中力を高めることを目的としたタイマーアプリ。設定した時間内、スマホをいじらずにいられたら樹木が育ち、コインがたまる。コインが2,500枚集まれば、実際にアフリカに樹木1本を植樹することもできてしまう。(聯合報)
「この5年間でアフリカに73万本近くの木を植えました。これは大安森林公園(台湾北部・台北市にある26ヘクタールの面積を誇る公園)に植えられている樹木の120倍に相当します」―こう胸を張るのはアプリ開発を手掛ける時刻科技(Seekrtech)の共同創業者、畢劭康さんと鄭婷予さんの二人だ。彼らが開発したスマホ専用アプリ「Forest(中国語名は「Forest 専注森林」)」は、植樹という行為をビジネスに組み込んだもので、ユーザーの粘着度(stickiness)を高めつつ、この地球のために多くの植樹を行ってきた。
 
2人がこのアプリを開発したのは大学院在学中の6年前だった。「Forest」はスマホを使う時間を減らすことで「樹木を育てる」というゲームアプリで、公開後すぐに多くのユーザーの心をわしづかみにした。そして2015年にはGoogle Playの「ベストオブ2015」アプリカテゴリーを受賞、2018年にはGoogle Play「エディターのおすすめ」仕事効率化カテゴリーのトップアプリに選ばれた。同年のGoogle Play「ベストオブ2018」では、カナダ、メキシコ、ブラジル、フランス、ロシア、日本、韓国、インドネシア、タイの9カ国で「自己改善部門賞」を受賞。同時に、「App Store」では世界140か国でランキング1位を獲得したことがある。現在までに全世界延べ425万人がダウンロードしている。

遊び方はいたって簡単だ。アプリで設定した時間内にスマホをいじらなければ、バーチャルの世界で樹木を植えることができる。しかも、目標を達成して樹木を育てることが出来たら、その時間に応じてバーチャルの世界でコインを集めることができる。集めたコインを使ってさらに特殊な樹木をゲットし、「マイフォレスト(自分だけの森)」を作ることもできる。しかし、何度も遊んでいれば、通常はバーチャルの植樹に飽きてくるものだ。このアプリのすごいところは、「地球に本物の木を植えて環境保護に貢献する」というご褒美のオプションが与えられていることだ。2500枚のコイン(約7500時間、スマホをいじらずに集中したことに相当する)で植樹1本を行うことができる。
 
植樹に協力するのは国際NGO団体の「Trees for the Future」だ。5年前から協力し、アフリカのケニア、タンザニア、ウガンダなど6か国で植樹や農地の開墾を行っている。彼らが、コインを2500枚集めたユーザーの代わりに植樹を行っている。時刻科技(Seekrtech)の開発チームも2年前、ケニアの首都ナイロビの北部にある農村を訪ね、バーチャルコインとの交換で実際に植樹された樹木を目の当たりにし、一つのアプリが地球に対して貢献できることに大変感銘を受けたという。
 
時刻科技はこのほど、スマホを使ったオンラインの心理テストコンテンツ「あなたのパーソナルフラワーを植えよう(中国語名は「種出你的専注花語」)」を公開した。MBTI(マイヤーズ・ブリッグスタイプ指標)を使った性格診断テストで、日常生活のささいな情景をテーマにした興味深い設問と手描き風の美しいイラストに「花言葉」の解釈を添えて、ユーザーの「集中タイプ」を分析するというものだ。これが意外なことに韓国で人気に火が着いた。今年2月27日には韓国の大手ポータルサイト「NAVER」の検索キーワードランキングで、「新型コロナウイルス」を抜いてトップとなった。1日だけで延べ300万人がアクセスしたほどの人気ぶりだった。
 
同社がこの心理テストコンテンツを開発したのは、より多くの人に「Forest」というアプリを知ってもらうきっかけにしたいと考えたからだった。しかし、意外な大ヒットに、開発チームのメンバーたちは「癒し感」がその主因だったのではないかと分析している。共同創業者の畢劭康さんは「今回の爆発的ヒットは、開発チームにも意外なことだった。たった一日で延べ300万人がこの心理テストにアクセスし、それによりアプリ『Forest』の韓国での売り上げも50倍に増えたのだから」と話す。
 
「あなたのパーソナルフラワーを植えよう」が韓国で爆発に人気が出たことから、「Forest」の開発チームは今後もこうした心理テストコンテンツやアプリをより多くの国に広めたいと考えるようになった。そして、より多くのユーザーが面白い方法で、生活の肝心なシーンで集中力を発揮できるよう手助けしていきたいと考えている。
 
心理テストコンテンツ「あなたのパーソナルフラワーを植えよう」には、基本的に16種類の植物と、それに応じた診断結果が用意されている。しかし、実はもう1つ、「隠れ植物」が用意されている。この「隠れ植物」を診断結果に出すキーポイントとなるのが、アプリ「Forest」が重視する「スマホを置いて、集中力を高める」という開発理念。この心理テストの設問には、読書中にスマホのメッセージが届くというシーンが登場する。スマホに届いたメッセージを敢えて見ないことで、ちょっと違った展開を目にし、そして奥深い意味を持つ「癒し」の結末を得ることができるという。
 
 

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