2025/05/01

Taiwan Today

文化・社会

高雄・屏東の客家語「六堆辞典」、台湾で初出版

2020/06/03
台湾南部・高雄市及び屏東県一帯に位置する客家人の集落、「六堆」の客家文化の研究・伝承に尽力する元教師の曽彩金さんが、10年の歳月をかけて編纂した「六堆辞典」。日常会話、フレーズ、ことわざなど2万語以上が収録され、六堆における客家語の集大成ともいえる。(中央社)
台湾南部・高雄市及び屏東県一帯に広がる客家人の集落、「六堆」における客家文化の研究・伝承に尽力する元教師の曽彩金さんは、10年の歳月をかけて経費を募り、このほど「六堆辞典」を完成させた。

「六堆辞典」は、曽彩金さんが総幹事を務める六堆文化研究学会によって編纂された。曽彩金さんは、高校の教師を退職した後、六堆客家文化の保存に乗り出し 、10年前、「六堆辞典」の編纂を開始した。辞書の編纂を始めたきっかけについて曽彩金さんは、「政府が主催する客家語関連のイベントで審査を任され評議するたびに、台湾北部・新竹市や北西部・苗栗県で話されている客家語と比べて、南部・六堆の客家人が話す『四県腔(最も多くの客家人に話され、台湾における客家語の標準的な発音とも言われる)』が重要視されていないことに気が付いた。そこで、四県腔を多くの人に知ってもらいたいと奮起し、『六堆辞典』を編纂しようと思いついた」と説明した。

「六堆辞典」の出版にあたり六堆文化研究学会はまず、行政院客家委員会(客委会、日本の省レベル)から助成金を受け取り、4年をかけて「六堆客庄(客家の里)」語彙の編纂を行い、複数冊に渡る成果報告書としてまとめた。しかしこれは、内容が多すぎて使いづらくなってしまった。そこで、辞書として再編集して、募金などで集めた700万台湾元(約2,500万日本円)の費用をかけて、「六堆辞典」第一版を完成させた。
 
六堆は、高雄市及び屏東県にある12の客家集落を指す。曽彩金さんによると、高雄市と屏東県の12の客家集落で話される3種類の四県腔は、北部とはまた異なっているという。3種類とは、屏東県の内埔郷、萬巒郷、竹田郷、麟洛郷で一つ、さらに屏東県の高樹郷、長治郷、佳冬郷、新埤郷で一つ、そして高雄市の美濃区、杉林区、六亀区で一つというように分かれている。

「六堆辞典」には、六堆の客家集落で日常的に使われている語彙が収録されており、日常会話、フレーズ、ことわざなども含まれ、六堆の歴史、社会、民俗文化、生活スタイルも垣間見ることができる。

台湾初の六堆客家語辞典「六堆辞典」は、上下巻2冊セットで1,400ページに渡る。収録語彙は2万語を超え、1,200セットが発行された。価格は1セット2,000台湾元(約7,250日本円)で、会話の学習用として使用できるCD-ROMが附属されている。

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