台湾では新型コロナウイルスの感染拡大が収まりつつあることから、各地の観光地などへの制限が緩和されている。交通部観光局(日本の観光庁に相当)東北角及び宜蘭海岸国家風景区管理処が実施する「亀山島の観光解禁20周年祝賀活動」も全面的にスタートすることになった。同管理処ではこの観光振興策を、落ち込んでいる産業が回復するきっかけにしたいとしている。亀山島は宜蘭県(台湾北東部)頭城鎮の沖に浮かぶ島。
東北角及び宜蘭海岸国家風景区管理処の陳美秀処長によると、亀山島には1977年まで人が暮らしていたが、その後軍事的なニーズに応じる形で住民を台湾本島に移住させた。そして今年、亀山島観光が解禁されて20年となるのを祝うため同管理処ではかつて亀山島に住んでいた人たちを探し出すことにした。
同管理処では、当時、島にあった亀山島国民小学(小学校)の卒業生、そこで教えた教師、島で勤務した警察官、駐屯した兵士たち、医師や看護師たちなどを対象に、8月1日にみなで亀山島に「里帰り」し、元住民同士で楽しく交流して島での暮らしの記憶を呼び起こそうと呼び掛けている。また、当日は名前に「亀」の字が入っている人ならば先着20名まで島への上陸を無料にする。
このニュースが伝わると、ネット上では「名前に『亀』の字がある人などいるのか?」とする意見が広がった。ある人は、「本名が蔡蠵亀の芸人、蔡閨しか思いつかない。彼女は無料で上陸する資格がある」と投稿。一方東北角及び宜蘭海岸国家風景区管理処は9日、頭城鎮亀山里に呉亀雄という男性がいるほか、ネットで検索したところ台湾北部の桃園市と同南部の台南市にそれぞれ1名、名前に「亀」の字がある人がいると説明した。また、同管理処のフェイスブックに、「『亀』の字が名前にある人を知っている」とする投稿もあり、管理処ではこの書き込みをした人に確認するため連絡を取ろうとしているという。
東北角及び宜蘭海岸国家風景区管理処では、亀山島の「山」という字では名前に使っている人が非常に多いだろうこと、ならびに「亀」には長寿の意味がありお目出度いこと、そしてさらに「亀」の字を名前の中で使っている人はめずらしいことを考慮して、優遇の条件を「亀」の字にしたと説明、仮に20名の枠が埋まらなかった場合は新北市(台湾北部)と宜蘭県と相談する考えを示している。
ベテランタレントの蔡閨さんは8日、観光局による「尋『亀』啓示」(中国語の「尋人啓示」はポスターや広告に書かれる「尋ね人」を指す)を見て「笑わされた」と反応。自身のフェイスブックを通じてファンたちに、「今日から私を『亀島主』と呼んで」と呼びかけた。蔡さんによると、父親はかつて台湾海峡に浮かぶ澎湖島に住んでいた。そしてある日家を出ると「緑蠵亀」(アオウミガメ)と出くわしたことからインスピレーションを得て、娘を「蔡蠵亀」と名付けた。また、妹の名「蔡蠵瓜」もかなり変わっている。蔡さんは子どもの頃、自分の名前を書くのが大変だとよく感じていたため、後に「蔡閨」に改名したのだという。
東北角及び宜蘭海岸国家風景区管理処は9日、呉亀雄さんと蔡閨さんを8月1日のイベントに招くことを決めているが、当日までまだ時間があることに加えて呉亀雄さんが高齢であることから、2人に参加してもらえるかどうかはわからないと話している。名前に「亀」の字がある人を探す活動は国籍を問わず、「亀」の字がありさえすれば誰でも参加できるとのことで、同管理処では台湾にいる外国人も大いに歓迎するとしている。