2025/05/06

Taiwan Today

文化・社会

上半期の人口自然増加数がマイナスに、台湾は今年ついに人口減少へ

2020/07/31
台湾における今年上半期の出生数は7万9,760人。これに対して死亡数は8万8,555人と死亡数が8,700人あまり多い。今年はついに台湾の人口が減少に転じる見通しとなっている。(自由時報より)
台湾の人口が減少に転じることが懸念されている。台湾の総人口は2019年末の時点で2,360万3,121人。しかし出生率が低レベルで推移していることで、昨年の総人口は前年比でわずか2,000人あまりしか増えず、あやうくマイナス成長に転じるところだった。そして今年上半期の出生数7万9,760人に対して死亡数は8万8,555人と、死亡数が8,700人あまり多くなっている。上半期で死亡数が出生数を上回るのは初めて。これを受けて専門家は、上半期の不足分を下半期に補うのは難しく、今年台湾の人口はついに減少に転じるものと予想している。
 
人口が減少に転じる主な原因は出生数の減少。今年上半期の出生数は7万9,760人で、前年同期比で6,000人以上減った。昨年の年間出生数は17万7,767人。過去最少の2010年以降で最も少なかったが、今のペースで行けば今年は17万人も保てない。
 
また、婚姻件数の動向にも関心が集まっている。昨年の年間婚姻件数は13万4,524組。今年上半期の婚姻件数は6万2,345組で、前年同期比で6,500組以上減っている。特に6月の6,889組は前年同月比でほぼ半分に。これにより来年の出生数がさらに減ると懸念する見方もある。もちろんこれは新型コロナウイルスの影響で、披露宴など多人数が集まる活動を控えたり延期したりしたこととも関係があり、今後の変化が注目される。ただやっかいなのは再来年(2022年)が寅年であること。台湾では寅年に出産を控える傾向があることから、年間で16万人、さらには15万人を割り込む恐れもあるという。年間出生数が最も少なかった2010年(16万6,886人)も寅年だった。寅年に出産を控えるのは子どもの干支が寅年になるのを嫌うから。台湾では、寅年の人は虎の凶暴なイメージから披露宴の会場に来るのを嫌がられるなど、場合によって寅年の人を敬遠する風習がある。
 
一方、新型コロナ対策で夫婦が家にいることが増えたことが出生数増加につながる可能性もあり、年末ごろには「防疫宝宝」(「防疫ベビー」の意)が5,000人生まれると期待する声もある。しかし、新規で母子手帳が渡される件数からはまだそうした動きは見えてこない。
 
人口が減少に転じた場合、高齢化率(総人口に対する65歳以上の高齢者の割合)の上昇が加速すると予想され、10年後の深刻な労働力不足を心配する声も。また、2018年の健康保険による医療費は6,000億台湾元(約2兆1,100億日本円)。65歳以上の高齢者が全人口に占める割合は14.2%ながら、高齢者の健康保険による支出は医療費全体の4割近くを占めた。高齢化が進み、医療財政を圧迫する恐れがある。これに対して社会福祉の関係者らは、「高齢化率20%」を問題としてとらえず、高齢者に機会を与えて社会を動かす主な力のひとつになってもらおうと呼びかけている。
 
一方で、少子化が一人暮らしの高齢者を生んでいくという指摘もある。衛生福利部(日本の厚労省に類似)の調査によると、高齢者のうち一人暮らしをする人の割合は8.97%で28万8,000人以上。「三代同堂」(三世代が一緒に暮らすこと)が良しとされたかつての時代から、今では「あまり子を産まない」あるいは「結婚せず、子も産まない」時代となり、高齢者を支える仕組みはますます脆弱になっているのである。
 
 

ランキング

新着