世界の視聴者を対象とした国際映像配信プラットフォームの構築を目指す文化部(日本の文科省に類似)は21日、この事業の準備作業を財団法人中央通訊社(CNA、通称「中央社」)に委託することを明らかにした。中央通訊社は台湾の国営通信社で、国内外ニュースの配信や国際メディア交流で豊富な経験を持つ。文化部は中央通訊社の経験を借り、グローバルなニュースネットワークの構築、映像コンテンツの制作、チームや組織の運営、ストリーミング・プラットフォームに必要な技術やスペックの構築など、「国際映像配信プラットフォーム」構築の初期準備作業を委託する。
文化部は、同計画の委託先について関連の専門家や学者らの意見を聴取した。その結果、政府系の財団法人あるいは基金会に運営を任せ、関連の運営経験や知識を蓄積することが、国際映像配信プラットフォームの長期かつ安定した発展につながるという声が多く聞かれた。
中央通訊社はこれまで文化部に対し、同事業を受託する意向があることを繰り返し伝えていた。文化部は慎重に検討した結果、中央通訊社という組織の任務が国際社会の台湾に対する理解促進にあること、メディアとしての専門性を持ち、多言語人材を抱えること、海外に支局や特派員を持ち、取材ネットワークの上で優位性を持つことなどを評価した。また文化部は、中央通訊社から提示されていた計画に加え、同社に対して他の映像コンテンツ制作会社と協力し、民間から映像コンテンツ企画・制作のアイデアや専門性を持つ人材を取り込むことを求めた。中央通訊社がこれに同意したことから、文化部は同社から提示された計画が事業の方向性に合致していると認め、同社に補助金を与え、その準備作業を委託することを決めた。
文化部はニュースリリースで、「今年初め、新型コロナウイルスの感染が世界各地に広まる中、台湾はその優れた感染症対策と誇るべき成果により、国際社会の台湾に対する印象を変え、世界各地から称賛を得た。タイミングを逃さず、台湾の感動的なストーリーを世界に通用する言語に翻訳し、よりタイムリーにデジタルの伝播手段を活用し、世界に向けて台湾の経験や価値をアピールするため、民間から20年以上に渡って提唱されていた国際映像プラットフォームの構想を実践すべく、『国際映像配信プラットフォーム』の構築を決めた」と指摘している。
文化部によると、「国際映像配信プラットフォーム」の構築計画は、今年行政院から3,877万7,000台湾元(約1.4億日本円)の予算を取りつけている。将来的にはインターネットを使った動画のライブ配信、あるいはビデオ・オン・デマンドなどのサービスを使って、多様なアプローチから国際社会に対し、自由、民主主義、文化・社会、産業・経済、公衆衛生・社会福祉、生態系・自然景観、観光・グルメなど台湾の特色や発展の脈動を伝えたい考え。また、グローバルなニュースネットワークを構築し、台湾の声や価値をタイムリーに国際社会へ向けて発信していく。