米メトロポリタン美術館は「世界バイオリンの日」とされる今月13日、バイオリンなどの弦楽器を収蔵する世界各地の博物館に呼び掛け、バイオリンの演奏動画をハッシュタグ「#MuseumsViolins」を添えてSNSで公開するイベントを実施した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的拡大)に歯止めがかからない中、音楽の力で人々の心を慰めるのが狙い。米メトロポリタン美術館のほか、仏パリのシテ・ド・ラ・ミュジック(音楽博物館)、イタリアのクレモナ・ヴァイオリン博物館 (Museo del Violino)、米サウスダコタ州バーミリオンの国立音楽博物館 (National Music Museum)、それに台湾南部・台南市の奇美博物館の5か所が参加した。奇美博物館は、アジアで唯一の参加となった。
招待を受けた奇美博物館は、収蔵するバイオリンの名器10丁を使って7分間の演奏動画を制作した。フェイスブックでこの動画を公開したところ反響が大きく、24時間も経たないうちに再生回数延べ5,000回を突破した。
奇美博物館は今回、「同館が収蔵する名器の特色と、人の心を動かす音楽を世界の人々と共有」するため、収蔵するバイオリンを使って新たなプロモーション動画を制作した。わずか7分間という短い動画ながら、同館が収蔵する名器10丁を動員して『バイオリンとチェロのためのパッサカリア』を演奏した。名器は19世紀のものから16世紀のものまで、時代をさかのぼって使用。アンドレア・アマティ、アントニオ・ストラディバリ、G.B.ガダニーニ、ジョバンニ・パオロ・マッジーニ、ジョヴァンニ・フランチェスコ・プレセンダなどが製作した名器が次々と登場した。
なお、奇美博物館の芸術庁(=芸術ホール)は、13世紀から20世紀までの作品を時代の流れに沿って展示している。奇美博物館は今回、この展示スペースを活用し、名器が誕生した時代に合わせて使用するスペースを変えた。つまり、16世紀に誕生した名器を演奏するシーンは、16世紀の作品を展示する空間で撮影した。このため視聴者は、16世紀から19世紀までの約450年間に誕生した名器の音色を楽しみながら、それぞれの時代の西洋芸術を観賞することができるなど、奇美博物館の特徴をうまく表現した作りになっている。
奇美博物館は、「人々の不安にさせる、気を緩ませることができない緊張した雰囲気の中、米メトロポリタン美術館の招待を受け、同館が収蔵する名器の音色を世界の人々と共有出来たことに感謝する。世界各地の人々に、台湾から少しでも癒しのパワーを届けることが出来たと思う」と述べている。
奇美博物館 演奏動画
https://youtu.be/uwVPEuMuNNg