2025/04/30

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文化・社会

世界初、国立成功大学の研究グループが全固体マンガン乾電池を開発

2021/01/08
国立成功大学の研究グループと台南市の不織布大手、康那香企業股份有限公司が、高い充電機能を持つ全固体マンガン電池(亜鉛‐炭素電池)の開発に成功した。写真は実験を行う同グループの大学院生ら。(国立成功大学のサイトより)
電池は電気自動車や電動バイクを普及させるカギとなる技術の一つ。国立成功大学(台湾南部・台南市)の研究グループと台南市の不織布大手、康那香企業股份有限公司(KNH Enterprise Co.,Ltd.)はこのほど、高い充電機能を持つ全固体マンガン電池(亜鉛‐炭素電池)の開発に成功した。同大学材料工学科の洪飛義教授によると、この電池は世界で初めて発表されるもので、価格はリチウム電池の1/3程度。現在、商業用途への技術移転を進めているところで、電力貯蔵の新たな時代を切り開くことが期待されるという。
 
従来型のマンガン電池は電解質が液体で、破損して液漏れする問題があったほか重複利用が出来ず、環境保護の面でも疑問があった。洪教授の研究グループは十数年間、電解質が固体の全固体電池を研究。今回開発した全固体マンガン電池は緑色の固体粉末で電解液に代えており、過度に充電しても爆発する危険性が無いなど安全かつ環境にも優しい。
 
この全固体マンガン電池は使用後、一般ごみとして廃棄出来るため環境汚染や回収の問題が無い。また全固体マンガン電池は亜鉛箔のプラス電極、固体電解質粉末、炭素箔のマイナス電極という単純な構造のため価格面で競争力があるほか、高電圧高電流での充電や放電が可能で、充電効率を大幅に高めることに成功している。
 
洪飛義教授によると、全固体マンガン電池の開発を成功に導いたカギは固体電解質粉末を固めてから不織布で表面を被覆したところ。この核心となる技術はKNH社の協力を得て完成させたもので、固体電解質粉末を高密度にし、分解を難しくした。また不織布で包むことで、電極界面での接触がより良くなり、全固体マンガン電池のより安定した構造と高い効果を実現した。これまで全固体マンガン電池に関する文献は世界で発表されておらず、研究グループが全固体電池の分野でより高度な技術を開発したことは、台湾がこの分野で世界をリードする立場にあることの証し。特に従来充電出来なかったマンガン電池(電解液を使用)を充電可能な全固体マンガン電池へと発展させたことは評価される。
 
洪教授は全固体マンガン電池に関する材料技術の研究と開発について、従来型の考え方にとらわれず、かつての並列充電・直列放電の方式から全固体マンガン電池では直列充電・直列放電の方式を採っていると強調、充電速度はいっそう速くなり、電動バイクや電動キックボード、電動立ち乗り二輪車など幅広い運用が可能だと話している。
 
 

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