英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)が主催する英国で最も権威ある映画賞「英国アカデミー(British Academy Film Awards)」は6日、台湾の映画監督である李安(アン・リー)さんに「BAFTAフェローシップ」を授与すると発表した。「BAFTAフェローシップ」がアジア人に授与されるのはこれで3人目。華人の映画監督としては初の快挙となる。
李安監督はアシスタントを通して、「苦しい一年だったが、BAFTAからこうした励ましを得て、心が温まる思いだ。これからも努力していきたい」とコメントを発表している。また、今月2日に台湾で発生した列車脱線事故についても言及し、「花蓮で不幸にも亡くなった人たちに哀悼の意を表します。皆さん、ご自愛ください」とも述べている。
BAFTAの公式サイトは李安監督について「世界で最もクリエイティブで、尊敬される現代映画人の一人。その画期的な精神は、映画制作、監督、脚本執筆のいずれにおいても高く評価されている」と評価している。授賞式は今月11日に行なわれる。
李安監督は過去に英国アカデミーを4部門で受賞したことがある。『ブロークバック・マウンテン』で最優秀監督賞、『いつか晴れた日に』で最優秀映画賞、『グリーン・デスティニー』で最優秀監督賞と最優秀外国語映画賞を獲得している。
BAFTAのマーク・サミュエルソン会長は、「李安監督は映画の技術、テーマの扱い方など、いずれにおいても非常に画期的だ。例えば『グリーン・デスティニー』、『ブロークバック・マウンテン』、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』などは、映画制作のプロセスに対する彼の深い理解を見て取ることができる。彼はどんなにシンプルな、あるいは叙事詩的な物語でも、見る人すべてが作品に感情移入できるようキャラクターに人間味を吹き込む。BAFTAがその最高栄誉であるフェローシップを彼に授与することができて非常に嬉しく思う」と述べている。
BAFTAの公式サイトは李安監督の受賞の感想として、「BAFTAフェローシップを受賞し、素晴らしい映画製作者の仲間に加えてもらえたことは、私にとってこの上ない栄誉だ」とするコメントを掲載している。
「BAFTAフェローシップ」が華人の映画監督に授与されるのは初めてのこと。アジア人としては、任天堂のゲーム「マリオ」シリーズの生みの親として知られるゲームクリエイターの宮本茂さん(2010年)、「メタルギアソリッド」シリーズなどで知られる同じく日本のゲームクリエイター、小島秀夫さん(2020年)に続く3人目の受賞となる。