地球温暖化と気候変動が進む中、北極圏の氷河の融解と流動の過程を探るため、国立中央大学(台湾北部・桃園市)の郭陳澔教授ら3人による探索隊(研究チーム)が今月台湾から8,000キロメートル離れた極圏に地震計を設置、観測ブイを海上に放ったほか、ドローンによる空中撮影などを敢行。極圏に台湾による研究の新たなページを象徴する中華民国(台湾)の国旗がはためいた。
国立中央大学によれば、同大学地球科学科の郭陳澔教授、張文和助理教授(Assistant professor)、管卓康研究助理(Research Assistant)の3人からなるこの北極探索隊は7月30日に出発。ノルウェーの首都オスロの感染対策専用ホテルで10日間の隔離を終えて今月11日、北極圏での重要な研究拠点、ロングイェールビーンに到着し、海と陸での分野を超えた総合的な研究を行った。
探索隊は6日間、毎日険しい氷河を重装備で10キロメートル歩き、40個の地震計を設置して氷河融解の震動を記録した。これは台湾が北極圏で初めて行う地震計観測。また波を調査するための観測ブイ8個も投下。さらにドローンを使った空中撮影、氷河の地形、地質など地球物理学的見地からの探査を行った。
郭陳澔教授は、野外ではほぼ10分ごとに氷河に亀裂が入る轟音が聞こえるなどその体験は衝撃的で、地震計にもデータが豊富に記録されたはずだと語っている。またドローンは25億年前の先カンブリア時代の地層が現れている場所を観測した。
今回の研究はポーランド・ニコラスコペルニクス大学極地観測所のSobota主任とそのグループによる協力を得て行われた。台湾の探索隊によれば、双方は今後も国境と分野を跨ぐ科学的な議題について議論を続けるほか、11月にポーランドで行われる国際極地シンポジウムで研究成果を発表する。郭陳澔教授は台湾とポーランド双方の政府省庁による多方面にわたる支援に感謝し、今回の探索は台湾における科学研究にとって非常に重要な一歩になったと語った。