2025/06/24

Taiwan Today

文化・社会

蔡総統、「史明文物館」開館式に出席

2021/09/22
蔡英文総統は20日午前、「史明文物館」(新北市新荘区中平路110巷17号3階)の開館式に出席した。史明氏が生前、日本の池袋で営んでいた中華料理店『新珍味』の様子なども再現されている。(総統府)
蔡英文総統は20日午前、「史明文物館」(新北市新荘区中平路110巷17号3階)の開館式に出席した。「史明文物館」は台湾独立運動家の故・史明(本名は施朝暉、1918年11月9日~2019年9月20日)氏を記念して作られた資料館。史明氏は長く日本で亡命生活を送り、池袋で中華料理店『新珍味』を経営しながら、日本語で『台湾人四百年史』を執筆したことで知られている。蔡総統の祝辞は以下の通り。
 
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史明おじさん(※蔡総統は史明氏のことを、日本語由来の呼称で欧吉桑=おじさんと呼ぶ)が亡くなって、それほど時間が経ったような気がしていませんでしたが、すでに2年が過ぎていました。おじさんは台湾に多くの資産を残しました。多くの人々がおじさんの精神を引き継ぎ、伝えようとしていることを私は嬉しく思います。東京と台湾の両方で、史明文物館を建設する計画が進んでいます。
 
大勢の人々が奔走して努力した結果、重要な意義がたっぷり詰まったこの史明文物館がきょう(20日)、多くの台湾の人々の期待を背負ってついにオープンしました。この文物館には手書きの原稿、文書、蔵書などがたくさん展示されています。これは台湾独立運動に関する史料館であり、より多くの台湾の人々に史明という人物を知ってもらうための空間でもあります。おじさんの歴史観を通して、台湾について考え、世界に目を向け、そして台湾人の主体意識を高めて欲しいと思います。
 
史明おじさんと自分には、確かに縁がありました。通常、こうした写真を眺めるのは、回顧録、自伝、または歴史書の中でのことですが、私はきょう、この場に居合わせることができてとても幸せに思います。自分と写真の中の人(史明氏)は、その晩年において奇妙な縁があり、交流を持つことができました。私はおじさんとの縁を、大切にしたいと思っています。
 
生前の史明おじさんは、自分に会いにくるときは必ず前日の夜にたくさんのことを考え、ときには手書きの原稿を手に、一字一句それを述べるのでした。私はそれを丁寧に聞き、彼の焦る気持ちを理解しようとしました。こうした対話の中で、私はおじさんの台湾に対する情熱と、楽観する気持ちを十分に感じました。それはおじさんが100歳になっても、少しも減ることはありませんでした。私はおじさんの、私に対する期待を感じていました。
 
昨日中国が突然、台湾産のシャカトウ(バンレイシ、シュガーアップルとも呼ばれる)と蓮霧(レンブ)の輸入を一方的に停止しました。中国は国際貿易のルールを守らず、一方的に貿易秩序を破壊しようとしているとして、政府はすでに抗議を行っています。私は直ちに、行政院農業委員会(日本の農林水産省に類似)に対し、対策を講じて生産者の利益を守るよう指示しました。それはまさに、おじさんがその生涯をかけて台湾の農業・工業、人々の暮らしに関心を寄せていたのと同じです。
 
ここ1~2年、国際社会は目まぐるしい変化を遂げています。これは台湾にとってチャンスでありますが、政権を託された私たちを試し、台湾の人々の団結意識と強靭性を試すものでもあります。政府が取り組み、常に考えていることは、傲慢にならず、卑屈にならず、だれかの支配を受けず、そして台湾のために空間を作り出し、台湾のために最大限の利益と支持を勝ち取るということです。この大きな時代のうねりの中で、台湾はさまざまな変化や課題に突き当たることでしょう。私たちはいつでも勇敢に、奮闘しながら、最後まで歩き続けなければいけません。
 

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