2025/06/08

Taiwan Today

文化・社会

国家人権博物館、白色テロ被害者のドキュメンタリー映画『人権路上』座談会開催

2021/12/14
国家人権博物館(台湾北部・新北市)で11日、4人の白色テロ被害者を描いたドキュメンタリー映画『人権路上(邦題:人権という名の道に)』の上映座談会が開かれた。白色テロ被害者の陳欽生さん(左)と蔡寬裕さん(中央)がそれぞれ自身の体験を語った。(文化部サイトより)
「国際人権デー(12月10日)」に合わせて国家人権博物館(台湾北部・新北市)で11日、4人の白色テロ被害者を描いたドキュメンタリー映画『人権路上(邦題:人権という名の道に)』の上映座談会が開かれた。台湾では1949年から1987年までの38年間にわたって戒厳令が敷かれ、人々の思想や言論の自由が奪われ、政府による暴力的弾圧が行われた。これを白色テロと呼ぶ。この映画は、この期間に身に覚えのない罪により政治犯・思想犯として投獄された白色テロの被害者、張常美さん、蔡焜霖さん、蔡寬裕さん、陳欽生さんの4人を取り上げたもの。権威体制の被害者がいかにして人権運動の実践者へと転じたか、その心境の変化を描いている。座談会ではそのうち蔡寬裕さんと陳欽生さんを招き、50~70年前の実体験を語ってもらった。
 
蔡寬裕さんは現在、国家人権博物館などでボランティアガイドとして働き、白色テロ被害者の名誉回復や権利確保のために奔走している。また、長期にわたり移行期正義の実践にも取り組んできた。蔡寬裕さんはこの座談会の中で、「移行期正義には多くの側面があるが、国家人権博物館の設立もその一環だ。このため2011年に人権博物館の籌備処(=準備委員会)が立ち上げられたとき、多くの白色テロ被害者たちが国家人権博物館のためにボランティアガイドとなるため駆けつけた」と説明。「歴史を経験した本人が自身で語り継ぎ、人権教育を次世代に伝えること。私はそれこそ我々の歴史的使命だと考えている」と述べた。
 
マレーシア華僑の陳欽生さんは戦後、夢を描いて台湾の大学に進学したところ、思いがけずこの歴史的悲劇に巻き込まれた。刑期を終えたあとも苦しい日々が続いたがその志を忘れることなく、大部分の時間を人権教育に投じて生きてきた。陳欽生さんは「近年、国家人権博物館のおかげで、私は幸運にも社会の変化を、台湾というこの土地に生きる人たちの変化を見ることができた。海外からも多くの支持を得るようになった。だから私の取り組みは無駄ではなかったと思っている」と述べた。陳欽生さんはまた、「台湾で最も重要なのは民主主義と人権だ。全世界がともに人権を尊重する社会に向かっていくよう期待している」と述べた。
 
国家人権博物館はこの上映座談会を介して、より多くの人が人権問題や移行期正義の実践に関心をもつよう期待を寄せている。
 

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