台湾では2019年、アジアで初めて同性婚が合法化された。しかし、養子縁組については依然制限がある。現行の規定によると、独身の同性愛者は養子を迎えることができるが、同性の相手と結婚したあと、配偶者がその子供と養子縁組をすることはできない。つまり、法律上はただの「他人」ということになる。
囲囲(ウェイウェイ)と喵喵(ミャオミャオ)は男性同士の同性婚カップル。二人は一緒に暮らして16年になる。これまで養子を迎えるためにさまざまな努力をしてきた。最終的には、囲囲が結婚前に肉肉(ロウロウ)という女児を養子に迎え、その後、喵喵と結婚。同性婚支持団体「彩虹平権大平台」の協力を得て、司法制度による救済を模索してきた。そして今年1月上旬、喵喵と肉肉の養子縁組がついに裁判所に認められた。2人は今月13日、裁判所の判決書を持って台湾北部・台北市信義区の戸政事務所(=戸籍を取り扱う役所)を訪れ、養子縁組届を提出した。台湾で初めて、同性婚カップルの双方に血縁関係のない養子縁組が実現した。
記者会見で「この日をずっと待っていました」と興奮気味に語った喵喵。苦しい道のりだったが、子供の身分証に自分の名前が書かれることがとても嬉しいと喜んだ。また、養子縁組を望み、訴訟を起こしたり憲法解釈を求めている同性カップルは他にもあるとして、同性婚カップルが異性婚カップルと同等の待遇が得られるよう訴えた。
囲囲も、「同性婚カップルの多くは、養子縁組か結婚かの二者択一を迫られる。養子縁組を選択したために結婚できないというケースも多い。これは馬鹿げたことで、義理人情を欠いた制度だ」と述べた。また、「台湾には十数年前から同性カップルの家庭は存在していたが、見て見ぬふりをしていただけ。自分は子供により完全な保護を与えたいと願い、訴訟という道を選んだ。法律上の差別さえなければ私たちは平凡な家庭に過ぎない。いまも多くの家庭が同じような問題に直面している。ほかの同性婚カップルがこれ以上、苦しまなくて済むようにしたい」と願った。