2025/06/26

Taiwan Today

文化・社会

言論の自由を求めた台湾の歴史を見直す展示、中正紀念堂で

2022/04/08
台湾北部・台北市の中正紀念堂で7日より、言論の自由を求めた台湾の歴史を振り返る展示「自由的霊魂vs.独裁者:台湾言論自由之路」が始まった。写真は1989年4月7日に焼身自殺した台湾の民主運動家、鄭南榕氏のオフィスを再現した展示。(文化部サイトより)
台湾北部・台北市の中正紀念堂で7日より、言論の自由を求めた台湾の歴史を振り返る展示「自由的霊魂vs.独裁者:台湾言論自由之路」が始まった。「独裁者」とも評価される故・蒋介石元総統を記念して建てられた中正紀念堂で、それに対抗した人々の歴史を振り返る展示を行うことは、転換を目指す中正紀念堂にとって新たなマイルストーンとなるもの。
 
この展示を主催するのは、国家人権博物館と中正紀念堂管理処。7日に行われた開会式には、監察院院長で国家人権委員会の主任委員を務める陳菊氏、文化部の李永得部長(=文相)、この展示を企画した国立政治大学台湾史研究所の薛化元教授、総統府資政の姚嘉文氏をはじめ、政治犯の汚名を着せられて亡くなったり拘禁された人々の遺族が集まった。
 
言論の自由を求めた台湾の民主運動家、鄭南榕氏が焼身自殺を決行したことにちなみ、台湾では4月7日を「言論自由日(=言論の自由の日)」と定めている。李永得部長は挨拶で、「現代に生きる人々にとって自由は空気のようなものだ。しかし、次世代を担う若い人々は、台湾がどのようにして言論の自由を勝ち取ってきたか知らないだろう。それこそ、この展示を企画した最大の理由だ」と述べた。
 
過去に「政治犯」として拘禁された経験を持つ監察院の陳菊院長もこの特別展について「非常に大きな意義を持つもの。台湾の移行期正義の取組みを示すと同時に、言論の自由がいかに得難いものであるか、台湾社会に改めて気づかせようとするものだ」と述べた。また、「半世紀の歳月をかけて、我々は独裁者を記念するこの施設(=中正紀念堂のこと)の外から、中に入ってくることができた。これは容易なことではない」と語気を強めた。
 
この展示では、言論の自由を求めて戦った楊逵氏、雷震氏、傅正氏などの重要人物を紹介すると同時に、鄭南榕氏が焼身自殺した雑誌『自由時代』のオフィスをリアルに再現している。鄭南榕氏は反乱罪に問われ、出廷を求められたがこれを拒否。71日間、オフィスに立てこもった。そして1989年4月7日、軍や警官隊に包囲される中、火を放って自決した。
 
「自由的霊魂vs.独裁者:台湾言論自由之路」は中正紀念堂1階の常設展ホール(台北市中正区中山南路21号)で開催されている。
 

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