2025/07/09

Taiwan Today

文化・社会

屏東県の地下ダム・二峰圳着工100年記念活動、蔡総統「台日友情の証し」

2022/07/25
台湾南部・屏東県来義郷に二峰圳という地下ダムがある。日本統治時代の1922年の着工から100年が経ったことから屏東県では23日、記念のセレモニーを行った。左から日本台湾交流協会高雄事務所の小野一彦所長、蘇貞昌行政院長、蔡英文総統、屏東県の潘孟安県長。(総統府サイトより)
台湾南部・屏東県来義郷に二峰圳という地下ダムがある。日本統治時代の1922年の着工から100年が経ったことから屏東県では23日、来義郷にある喜楽発発吾森林公園において記念のセレモニーを行った。蔡英文総統、蘇貞昌行政院長(首相)、潘孟安県長(県知事)、日本の対台湾窓口機関・日本台湾交流協会高雄事務所の小野一彦所長、当時同ダムを計画した日本人技師、鳥居信平の孫である鳥居徹さん、地元集落の先住民の人らが、長い歴史を経て今も用水路に水を送り続ける二峰圳に集った。
 
記念のセレモニーは集落の長老による祈りの儀式とパイワン族を中心としたダンスカンパニー「蒂摩爾古薪舞集(Tjimur Dance Theatre)」によるパフォーマンスで幕を開け、続いて鳥居信平の出身地である静岡県袋井市の大場規之市長によるお祝いのビデオメッセージが放映された。さらに静岡県の川勝平太知事が同ダム100年を祝う書簡を、同県駐台弁事処の宮崎悌三処長が屏東県の潘県長に手渡し、台日の友好的な関係に対する静岡県の重視ぶりを示した。
 
蔡英文総統はあいさつの中で、二峰圳が過去100年間、絶えずたっぷりとした水を供給して屏東平原を潤してきたおかげで屏東県は台湾南部における重要な穀倉地帯の一つになることが出来たと説明、先人たちの将来を見据えた計画、ならびに苦労してそれを建設した先住民族の人たちに感謝した。
 
蔡総統は、二峰圳のダム工事は農業発展の手本であるばかりでなく、台日友情の代表的な証しだと指摘。また、同ダムの建設が始まって100年後の今年6月に屏東県が林辺渓の伏流水モデルエリアを建設、開通させて、台湾で伏流水施設を持つ初めての県・市となったことを挙げ、同県の関係者の努力を称えると共に、これからも水利施設のレジリエンスを強化し、水資源の保護と持続可能な発展に積極的に取り組んでいく考えを示した。
 
行政院(内閣)の蘇貞昌院長は、「先人たちは知恵を使って二峰圳の地下水を留め置き、過去100年間にわたって土地を潤し、人々ののどの渇きを癒してきた」と指摘。こうした二峰圳に関する知識に基づき、閣議において経済部(日本の経済産業省に相当)水利署に特別案件として指示し、過去3年来伏流水の開発と水資源の保護を前倒しさせてきたことで、昨年の「過去100年で最大の水不足」にも速やかに対応できたと説明した。そして、これからは屏東県来義郷だけでなく台湾全土の各地で地下ダムの建設と伏流水の利用を急ぎ、同時に一般のダムでも浚渫によって水を確保することで、水資源が台湾全体を潤せるようにする考えを示した。
 
屏東県の潘孟安県長は、日本統治時代に鳥居信平技師が描いたビジョンに感謝、来義郷の林辺渓上流に二峰圳を建設して伏流水を取り込んだことで、過去100年来水源は常に豊かで途絶えたことがないと鳥居技師を称賛した。そして屏東県ではここ100年間の知恵を参考にし、「国土の再生と水資源の保護」という考えから台湾初の「補充地下水」を概念とした「大潮州人造湖」を創り上げたと説明。さらに、台湾における伏流水の100年の歴史は常に屏東県にあったとして、屏東県はこれからも歴史をつなげていく役目を担い、次の100年に向けて持続可能な水資源の手本になっていく考えを強調した。
 
 

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