台湾第二のエスニック・グループである客家(ハッカ)出身で医師の曽貴海さんが、南米エクアドル共和国の港湾都市グアヤキルで行われた「グアヤキル国際詩歌祭」で第15回イレアナ・エスピネル・セデーニョ国際詩歌賞(XV Premio Internacional de Poesía de Guayaquil Ileana Espinel Cedeño)を受賞した。アジア人が同賞を受賞するのは初めてのこと。主催機関は現地時間14日に授賞式を開催。台北駐エクアドル商務処の荘輝恩代表(駐エクアドル大使に相当)が代理として参加し、台湾の詩歌のパワーを世界に伝えた。
グアヤキルでは14日から18日まで「グアヤキル国際詩歌祭」が開催されている。そのうち「国際詩歌賞」の授賞式は14日に行われた。授賞式に出席できない曽貴海氏の代理として、駐エクアドル商務処の荘輝恩代表が壇上で挨拶を行った。荘代表は、曽貴海氏の代わりに主催機関及びエクアドルへの謝意を伝えた上で、曽貴海氏はこの賞を「台湾及びすべての人類に捧げたい」と話していることを明らかにした。荘代表はまた、曽貴海氏の受賞は台湾が半導体の製造だけにとどまらず、味わいのある詩歌を書くことにも長けていることを示すものであり、それは台湾が世界で最も自由で、民主的な国の一つだからだと胸を張った。荘代表はまた、「しかし、不幸にも台湾は長い間、専制政治の脅威にさらされてきた。そのため、詩人たちは文字の力で台湾に寄り添い、自由と民主主義を守ろうとしている」と述べた。
主催機関の代表であるAugusto Rodríguez氏は授賞の理由として、「曽貴海氏は世界に誇る重要な詩人だ。この賞を彼に授与できること、また彼の詩集を出版できることを光栄に思う。彼は偉大な詩人であり、優れた人類であり、台湾の民主運動のリーダーでもある」とし、「このため我々はこの賞を彼に授与することが極めて重要なことだと考える」と説明した。
曽貴海氏は2000年以降、ほぼ毎年のように著書を出版しており、これまでに出版した書籍は23冊に達する。内容は詩、散文、評論、歌詞など多岐にわたる。詩人としでだけでなく、社会運動家としての顔も持ち、さまざまなエスニック・グループや社会問題の解決に貢献してきた。
客家委員会(客家行政を担う中央省庁)は、より多くの人に台湾の客家について知ってもらうため、客家の文学作品の外国語翻訳や海外普及事業に力を入れている。曽貴海氏の作品もこの事業の一環としてスペイン語や英語に翻訳されている。今回受賞した詩集は、曽貴海氏が過去50年間にわたって書き溜めてきた500編の詩から優れた作品をまとめたもので、客家委員会では今後、これらを整理して台湾華語(=標準中国語)、英語、スペイン語の3か国語に翻訳して海外で出版するとしている。