国家科学及技術委員会(旧科技部)の呉政忠主任委員(大臣に相当)は訪問先のドイツで、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)のベッティーナ・シュタルク=ヴァッツィンガー大臣と会談を行ったあと、ドイツにおける主要な研究機関であるヘルムホルツ協会ベルリン(Helmholtz-Zentrum Berlin, HZB)及びアレクサンダー・フォン・フンボルト財団(Alexander von Humboldt Foundation)を訪問し、科学研究分野での協力の可能性について模索した。
そのうちヘルムホルツ協会はドイツ最大の研究機関で、傘下に18の独立した研究センターを持つ。国家科学及技術委員会の一行が向かったのはベルリンにある研究センターで、Bernd Rech所長が一行のために同センターがエネルギーやマテリアルについて主に研究していることを説明した。Bernd Rech所長によると、同センターには現在ドイツで唯一の軟X線放射光設備「BESSYⅡ」があり、主にマテリアルやバイオ医薬に関する研究に用いられているという。同センターでは現在、「BESSYⅢ」の設置を計画しており、将来台湾の研究機関とこの分野で提携できればと期待を寄せた。
また、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団では次期会長のRobert Schlögl氏と会見し、台湾とドイツが推進するエネルギーの構造転換に関して意見交換を行った。台湾側が、台湾の政府が2050年までの「ネット・ゼロ」を目指していることに言及すると、Schlögl氏はドイツが2045年までに気候中立(温室効果ガスの排出実質ゼロ)を目指していることに言及し、エネルギーの構造転換にとって水素技術の実用化重要であることを指摘した。この会談で呉主任委員は、台湾が現在、CO2排出抑制の関連技術について海外との連携を模索していると伝えると、Schlögl氏は台湾との協力に意欲を示した。
国家科学及技術委員会の訪問団一行は20日にドイツでの日程を終え、フランスへ向かった。フランスでは第24回「台仏科技奨」の授賞式に出席するほか、アリアンスペース社を訪問し、来年の発射を予定している台湾製気象衛星「獵風者(トリトン)」の準備状況について理解を深める。